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大河ドラマ「どうする家康」史実をもとにライター角田晶生が振り返る 「どうする家康」♪走れ、走れ、強右衛門~♪第21回放送「長篠を救え!」振り返り

「どうする家康」♪走れ、走れ、強右衛門~♪第21回放送「長篠を救え!」振り返り

徳川と織田の同盟破棄は有り得たのか?

援軍をよこさねば手を切って武田と組む。そう信長を脅した家康。果たしてこの描写には元ネタがあったのでしょうか。

筆者は寡聞にして存じませんでしたが、時代考証の平山優先生がTwitterでこんなことを呟いていました。

K・HIRAYAMA
@HIRAYAMAYUUKAIN
援軍に来なければ、織田と手を切り武田と合力すると家康が言ったという史料は、近世のものだが存在する。金子拓氏はありうると考えておられる。私は懐疑的ですが。 #時代考証の呟き
午後8:14 · 2023年6月4日·5.4万件の表示

この「近世のもの」とされる史料についてはまだ見つけられていません。見つけられたら、また改めて紹介したいと思います。

本作ではその説を採用したのだとしても、姉川の合戦で「浅井につきたい……」発言以来、残念でなりません。

家康の律儀さは、単に本人の評価を高めるだけでなく、信長にとっても大きな支えとなったはずなのです。

何かにつけて人を信じては裏切られを繰り返す信長。結局それが命取りとなるほどお人好しだった彼は、その次度傷つき続けたことでしょう。

「別の人ならともかく、同じ人に何度も裏切られるなんで、学習能力なさすぎ」そんな声が聞こえてくるかも知れません。

普通(例えば筆者)なら、悪質な裏切り者など二度と信用しません。皆さんもそうだと思います。

しかし信長は信じたかったのでしょう。自分の思いが通じる、裏切らない律儀者が必ずいると。それが家康でした。

実際のところは家康本人しか分かりませんが、どこまでも誠実一途であり続けた家康の姿こそ、多くの人々を感動させてきたのです。

「そんなキレイゴトで世の中渡れないよ。現実は汚く厳しいんだよ」訳知り顔で賢しらに時世を語る者が、少なからずいるのは知っています。

しかし、そんな志の低い生き方に迎合するドラマを観て、人々は生きる勇気が湧くのでしょうか。

ドロドロの汚い現実に傷つき、ボロボロになりながら、それでも信義を貫き通した家康。そういう姿にこそ、よりよい生き方を目指そうと奮い立つのです。

公共放送のブランドと、国民からの受信料を背負って放送する以上、天下公益に供するドラマ作りをお願いしたく思います。

6ページ目 第22回放送「設楽原の戦い」

 

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