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「鎌倉殿の13人」いよいよ木曾義仲が登場!源頼朝と衝突した原因は?第13回「幼なじみの絆」予習

「鎌倉殿の13人」いよいよ木曾義仲が登場!源頼朝と衝突した原因は?第13回「幼なじみの絆」予習

和議は成立したものの……

寿永二年三月上旬に、兵衛佐と木曽冠者義仲不快の事ありけり。兵衛佐木曽追討の為に、その勢十万余騎で信濃国へ発向す。木曽は依田の城にありけるが、右を聞いて信濃と越後の境、熊坂山に陣を取る。兵衛佐は、同じき国、善光寺に着き給ふ。木曽、乳母子の今井四郎兼平を使者で、兵衛佐のもとへ遣はす。
「いかなる子細のあれば、義仲討たむとは宣ふなるぞ。御辺は、東八ケ国を討ち従へて、東海道より攻め上り、平家を追い落さむとし給ふなり。義仲も東山、北陸糧道を従へて、今一日も先に平家を攻め落さむとする事でこそあれ。何の故に、御辺と義仲と中を違うて、平家に笑はれんとは思ふべき。ただし、十郎蔵人殿こそ、御辺を恨むる事ありとて、義仲がもとへおはしたるを、義仲さへすげなうもてなし申さむ事いかんぞや候へば、うち連れ申したれ。全く義仲においては、御辺に意趣思ひ奉らず」
と言ひ遣はす。兵衛佐の返事には、
「今こそさやうには宣へども、たしかに頼朝討つべき由、謀叛の企てありと申す者あり。それにはよるべからず」
とて、土肥、梶原を先として、既に討手をさし向けらるる由聞こえしかば、木曽、真実意趣なき由を表さむがために、嫡子清水冠者義重とて、生年十一歳になる小冠者に、海野、望月、諏訪、藤沢などいう聞こゆる兵共を付けて、兵衛佐の許へ遣はす。兵衛佐、
「この上は、まことに意趣なかりけり。頼朝、いまだ成人の子を持たず。よしよし、さらば子にし申さむ」
とて、清水冠者を相具して、鎌倉へこそ帰られけれ。

※『平家物語』巻第七「清水冠者」より

かくして頼朝との和睦が成立し、後顧の憂いがなくなった義仲は平家打倒の上洛を急ぎ、かの叔父・行家らもそれにくっついていきました。

「……いいんですか?十郎(行家)殿は連れ戻さなくて」

「ふん、あやつはしょせん『獅子身中の虫(寄生虫)』よ。上洛を焦る木曽の生き血を散々にすすらせるがよかろう」

果たしてその予測通り、義仲らの勢力は内部から崩壊。後から乗り込んだ頼朝が漁夫の利を得るのですが、そのくだりは又の機会に。

第1回「大いなる小競り合い」の終盤でちょっとだけ姿を見せた木曽義仲がいよいよ本格始動。巴御前(演:秋元才加)や今井兼平はじめ、信濃武士団の活躍が楽しみですね!

※参考文献:

 

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