首級は本当に飛んだのか?日本三大怨霊のひとつ、平将門「怨霊伝説」の元ネタを紹介【後編】:2ページ目
三浦父子は相州武士の意地とばかりに大暴れ、あまりの「無双」っぷりに、ついには圧倒的多数だった小田原軍の方が怯えだす始末でしたが、とうとう力尽きた道寸は自害、荒次郎も自分の首を刎(は)ね飛ばします。
享年二十一歳、荒次郎の胴体は海に落ちたそうですが、首の方はどんな勢いで斬ったらそんなに飛ぶのか、小田原城の近くまで直線距離で十里(一里≒4km)以上も飛んだ挙げ句、とある松の枝に引っかかって、首のまま3年以上にわたって生き続けたと言われています。
「おのれ新九郎……三浦が怨み、ゆめ侮るな……末代まで祟ってくりょうぞ……!」
その様子の凄まじいことと言ったら、眦(まなじり)は裂けて歯をギリギリと喰いしばり、ざんばら髪は怒りに天衝くばかり……近寄った者はことごとく死んでしまうため、みな祟りを恐れて近づけなかったそうです。
当初は祟りなど鼻で嗤って取り合わなかった長氏も、いつまでも死なない荒次郎の首級が薄気味悪くなってきたのか、怨霊を鎮めるべく名僧や修験者に加持祈祷をさせたものの、いっさら効き目のないまま永正十六1519年8月15日、長氏の方が先に亡くなってしまったのでした。