意識障害、狂躁状態…日本の歴史でも影響を与えた感染症・コレラ、チフスとはどんな病気だった?:2ページ目
2ページ目: 1 2
元々「コレラ」という病名は、ギリシャ語の「kholera」から来たもので、これは“胆汁”を意味する「Khole」に由来しています。それをコロリと呼んだのは、文字通り感染すれば2~3日程でコロリと死んでします恐ろしい病気だったからです。
一方、「チフス」のほうは、古代ギリシャの医師ヒポクラテスが命名したとされています。この病気にかかると、高熱のために幻覚や錯覚を引き起こし、ときに狂躁状態に陥ることもあります。頭に霧がかかったような、靄の中にいるような状態になるため、ヒポクラテスはこの病気をギリシア語で「霧」「もや」を意味する「typhus」と表記しました。チフスという名前はそこから由来しています。
チフスは、戦争、貧困、飢餓など不衛生な環境下において流行します。日本では、1897年(明治30年)に制定された初めての感染症対策のための法律である伝染病予防法において、腸チフス、パラチフス、発疹チフスの三種類がいずれも法定伝染病として記載されていました。また、太平洋戦争の戦況が悪化した1946(昭和21)年には3万2000の人がチフスに罹患し、シラミの駆除が大きな社会問題となりました。
現在、日本国内で大発生ということはなくなりました。しかし、あまり大きく取り上げられませんが、海外旅行の旅行先などでコレラやチフスに感染して帰ってきて問題になるケースもあるようです。
ページ: 1 2