雪の日、お江戸の人はどうしてた?浮世絵で江戸時代にタイムトリップ:パート2:3ページ目
雪なんて楽しくない
あらあら、こっちの遊女の姐さんはますます気だるそう。窓際に腰掛け房楊枝※をくわえ、雪の降りしきる外を眺望する瞳は物憂げ。ちょいと訳を聞いてみましょう。「姐さん、どうしたんですか?」「いやさあ、この大雪で嫌いな客が帰らねえんだ。1日だって苦痛なのに、もう2日連続居続けだよ。おまけにまだ降ってるだろ。もう憂鬱で仕方ねえからハミガキしてんの」そうだったんですね。遊郭の事を苦界とは言いますが、こういう時にこそ、辛さが身体の芯まで沁みます・・・。※(ふさようじ、ハミガキの事)
雪の中の二人
こちらは正反対に、カップルの2人。相合傘なんてしちゃって、羨ましい限りです。ちなみに2人の頭巾の被り方はお高祖頭巾(おこそずきん)と言って、若者が防寒のために被った当時流行のファッションでした。特に、春信が活躍した享保〜宝暦年間に流行ったそうです。
この絵にぴったりの都々逸、1つ唄わせて下さいな。
「重くなるとも持つ手は二人 傘に降れ降れ夜の雪」
なになに、火鉢よりこたつより、恋が1番あったかだって?こりゃどうも、お後がよろしいようで・・・。
【参考文献】
【画像出典】
- 広重「名所江戸百景 びくにはし雪中」
- 国芳「雪月花の内 雪の朝」国立国会図書館
- 豊国「〔雪〕見八景 らくがん」
- 菊川英山「青楼行事八景 居続の暮雪 鶴屋在原」ボストン美術館蔵
- 春信「雪中相合傘」ボストン美術館蔵