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これ江戸時代の絵画です!”スナイパー観音”など江戸時代のオモシロ絵巻「戯画図巻」を読み解く書籍が発売

これ江戸時代の絵画です!”スナイパー観音”など江戸時代のオモシロ絵巻「戯画図巻」を読み解く書籍が発売

まず、こちらの絵画をご覧ください。

狩野昌運筆『異代同戯図巻』(福岡市美術館蔵)部分

火縄銃をかまえる観音菩薩。まるで現代アーティストが昔の絵巻をモチーフに描いたようなユニークな作風ですが、じつはこの作品は江戸時代前期に描かれたものなのです。

今回紹介するのは、狩野派の絵師によって描かれた絵巻を読み解く『「戯画図巻」の世界 競う神仏、遊ぶ賢人』という書籍です。

「スナイパー観音」としてSNSで話題になった、火縄銃をかまえる観音菩薩が描かれているのは、狩野派の絵師たちの手で描かれた、江戸時代前期の絵巻「戯画図巻」のひとつ、狩野昌運筆『異代同戯図巻』(福岡市美術館蔵)です。

『異代同戯図巻』(福岡市美術館蔵)の場面の例

火縄銃をかまえる観音菩薩と、火縄の準備をする龍女。

この他にも殺生を禁じた釈迦は水辺で漁にいそしみ、怪力無双の弁慶は小さな一寸法師に追い回され、威厳ある雷神は足をカニに挟まれていたり、神仏、鳥獣、歴史上の著名人たちが、諧謔に満ちたコラボレーションを繰り広げています。

蟹に足を挟まれる雷神
巻頭を飾る、鼠たちの正月風景の図
鵜飼にいそしむ白象に乗った普賢菩薩

なぜこのように一風変わった絵巻が作られたのでしょうか。また、それぞれの絵は何を意味しているのか?文学、美術史、歴史学の研究者が集まり、その謎の解明に挑んだのが本書。

本書は2部構成となっており、第1部では、初公開を含む海外の所蔵本など4本の全図をフルカラーで収録。各場面を分かりやすく解説。後半の第2部では、「戯画図巻」の成立の謎や、各場面の文化的背景を解き明かし、さらにこの作品がどのように発展していったのかを考察する論考が収録されています。

こうした絵の数々を見て愉しむだけでなく、さらにその背景にある、江戸時代の豊穣な教養と優れた機智も知ることのできる、充実の1冊に。

『「戯画図巻」の世界 競う神仏、遊ぶ賢人』は2024年3月13日(水)に発売されます。

福岡市美術館について(『異代同戯図巻』を収蔵)

※「異代同戯図巻」の常設展示はしていません

【住所】福岡市中央区大濠公園1-6
【開館時間】午前9時30分~午後5時30分(入館は閉館の30分前まで)
※7~10月の金・土曜日は午後8時まで開館
【観覧料】一般200円/高・大生 150円/中学生以下 無料(特別展は展覧会によって料金が異なります)
【休館日】月曜日(祝日・振替休日の場合は直後の平日)、12月28日~1月4日
【アクセス】福岡市地下鉄の空港線「大濠公園駅」または七隈線「六本松駅」より徒歩10分/西鉄バス「福岡市美術館東口」または「福岡城・NHK放送センター入口」より徒歩3分など(なるべく公共交通機関でお越しください)

 
 

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