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大河ドラマ「どうする家康」史実をもとにライター角田晶生が振り返る 「どうする家康」なぜ戦うのか?瀬名が夢見る「慈愛の国」壮大なる築山の謀とは…第24回放送「築山へ集え!」振り返り

「どうする家康」なぜ戦うのか?瀬名が夢見る「慈愛の国」壮大なる築山の謀とは…第24回放送「築山へ集え!」振り返り:6ページ目

第25回放送「はるかに遠い夢」

なぜ戦をするのか。愛する瀬名の問いに「我らが神の君」は何と答えたか。

「考えたこともなかった」……皆さん、ツッコミの準備はいいですか?

殿、「厭離穢土 欣求浄土(おんりえど ごんぐじょうど)」の旗印は飾りですか?デカデカと書いてある言葉の意味は覚えていますか?

アンタ今まで「民を救うため」「この世を浄土にするため」に戦ってきたんじゃないのかいっ!

「生まれた時から戦ばかりだから、当たり前に戦ってきた」確かにそりゃそうでしょう。でもどこの大名だって「なぜ戦うか」くらいは考えています。

なぜ国家が存在し、存続させねばならないか。そうしなければ生きていけない(殺される)からです。だから殺し殺されるリスクを厭わず、家臣を死地へ駆り立てるのが上に立つ者の務めというもの。

人の生き死にを預かる大将として、あまりに不覚悟ではありませんか。これでは今まで討死してきた者たちが報われません。

まったく左衛門尉や石川数正は、これまで殿にどんな教育をしてきたのか。彼らと膝詰めで小一時間ほどお訊ねしたく思います。

そして瀬名。劇中ではみんな魅入られたように賛同していきましたが、これもいつぞや描かれたカルト宗教の怖さを表現したものでしょうか。

どうしてあんな「脳内お花畑な有閑マダムの妄想ユートピア計画」に、雁首そろえて魅入られたのか、まったく狐につままれたような気分です。

……そうか、つまり瀬名は聖女に見えて実は皆をたぶらかす女狐だったのですね。きっとそういう深い考えあってのキャラ造形だったのでしょう。そう思うことにしました。

という訳で、次週の第25回放送は「はるかに遠い夢」。いよいよ瀬名が処刑され、信康が自害する築山殿事件。聖女瀬名の殉教シリーズ最終章となります。

平和を愛する瀬名の想いが、家康をして戦国乱世に終止符を打つ……そんな感動のシーンが繰り広げられることでしょう。次週も目が放せませんね!

※参考文献:

  • 『NHK大河ドラマ・ガイド どうする家康 後編』NHK出版、2023年5月
  • 『徳川実紀 第壹編』国立国会図書館デジタルコレクション
  • 『寛政重脩諸家譜 第一輯』国立国会図書館デジタルコレクション
  • 岡本八重子 編『週刊新説戦乱の日本史 伊賀忍者 影の戦い』小学館、2008年1月
  • 黒田基樹『家康の正妻 築山殿 悲劇の生涯をたどる』平凡社、2022年10月
  • 高柳金芳『徳川妻妾記』雄山閣、2003年8月
  • 瀧澤中『「戦国大名」失敗の研究 政治力の差が明暗を分けた』PHP文庫、2014年6月
 

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