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飯尾連龍の暗殺について
物語の冒頭で、家康との共闘を約束していた飯尾連龍(演:渡部豪太)。妻同士が親友だから……という安直な理由で意気投合。酒井忠次(演:大森南朋)の海老すくい踊りが炸裂しました。
が、その妻である田鶴(演:関水渚)は病と偽って夫の内通を今川氏真に密告。連龍はラストで粛清されてしまいます。
恐らく「妻に見捨てられた哀れな男」「愚かな夫を切り捨てて御家を守る戦国乱世の女子(おなご)」を描きたかったのでしょうが、これはいかがなものでしょうか。
いつの時代でも、夫が愚かな行為に及ぼうとしているなら全力で止めるのが妻(というより伴侶)の務め。必死に説得したという描写も説明もなく、面従腹背の裏切り行為は、心ある者の非難を免れません。
そもそも田鶴自身は密告の功によって許される(あるいは恩賞に与れる)かも知れませんが、息子たち(辰之助、辰三郎など。諸説あり)はどうでしょう。
田鶴の息子だから許される、よりも連龍の息子だから罰として粛清される可能性の方が高そうです。飯尾の家督を継がせるために一人だけ許されて、後は殺すという折衷案でも、彼女は納得できるのでしょうか。
そもそも夫婦すなわち結婚とは家同士の結びつき。単に男女のついた離れたにとどまらず、飯尾家と鵜殿家の関係に大きく影響を及ぼすものです。
史料や文献でも「田鶴が夫を裏切った」という記録はなく、もしそうであれば「なぜ彼女は夫の説得もせず、また周囲に相談もせずリスクの高い密告に及んだか」を裏づける葛藤を描いて欲しかったと思います。
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