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大河ドラマ「どうする家康」史実をもとにライター角田晶生が振り返る お市との愛を貫いた義の男・浅井長政。大貫勇輔が演じるその生涯とは【どうする家康】

お市との愛を貫いた義の男・浅井長政。大貫勇輔が演じるその生涯とは【どうする家康】:2ページ目

死者を辱める信長の暴挙

しかし信長の怒りはこれでは収まりません。あろうことか信長は、長政と朝倉義景の髑髏(ドクロ)を晒しものにしたそうです。

……信長卿御にくみや深かりけんこの長政の首と義景の首とを肉をさらし取朱ぬりに被成安土にて其翌年より正月の御禮に参上せらるゝ大名衆へ御盃の上に御肴にそ出にける……

※『浅井三代記』第十八

【意訳】信長の憎しみは深く、長政と義景の首から肉をこそぎ取り、その髑髏を朱塗りに。そして翌年の正月、安土へあいさつに参上した大名たちをもてなす酒席に肴として披露した。

一方『信長公記』では、父・久政の首級までも髑髏にしたと言います。

……古今不及承珍奇の御肴出して御酒有去年北国にて討とらせられし
一朝倉左京太夫義景首 一浅井下野 首 一浅井備前 首 巳上三ツ薄濃にし公卿に居置御御肴に出されして御酒宴各御謡御遊興千々万々目出度御存分に任させれ御悦也……

※『信長公記』巻之七(一)義景浅井下野浅井備前三人首於肴之事

【意訳】とても珍しい肴があると酒席に出したのは、去年北陸で討ち取った朝倉義景と浅井久政・浅井長政の髑髏。薄濃(はくだみ。漆を塗った上から金粉をまぶした表面加工)にしたそれを公卿たちや皆に披露すると、それぞれめでたいことだと褒め讃えたため、信長はご満悦であった。

いやぁドン引きですね。公卿たちも、褒めなければ首が飛ぶだろうから忖度したのでしょうが……。

一説には更に髑髏で盃を作り、それで酒を飲んだ(飲ませた)というものの、信長自身は酒を飲まなかったため創作と考えられています。

終わりに

朱塗の髑髏、あるいは薄濃の髑髏……どっちにしても悪趣味ですね。果たして大河ドラマでも演るのでしょうか。

果たして「どうする家康」の浅井長政はどんな生涯をたどるのか、お市や娘たち、そして家康との絆も見どころですね。

※参考文献:

  • 太田牛一『信長公記』国立公文書館デジタルアーカイブ
  • 近藤瓶城 編『史籍集覧 第6冊』国立国会図書館デジタルコレクション
  • 宮島敬一『人物叢書 浅井氏三代』吉川弘文館、2008年2月
 

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