紙背文書、漉返紙…紙が貴重だった昔のリサイクル術を紹介
最近は環境意識の高まりから、持続可能な社会を目指すSDGs(2030年までに達成すべき17の目標)が話題となっています。
その一環として限りある資源を大切にし、紙1枚でも最大限に有効活用するべく裏紙(※)や再生紙を使っているオフィスも多いのではないでしょうか。
(※)うらがみ。片面(表)を使用した紙を、もう片面(裏)も別の用途に再利用すること。またはそのための紙。
私たち一人ひとりが出来ることから……しかし、こういう活動を始めると、往々にしてケチをつける手合いも出てくるものです。
「何だよ、しみったれやがって。紙くらい好きに使わせやがれ」
「そもそも『裏紙』とか『再生紙』ってネーミングからして、さもしい感じだよな」
などとブーブー文句を垂れているのを耳にしたことがありますが、それならもっと素敵なネーミングがあるので、紹介したいと思います。
紙背文書(しはいもんじょ)
何だかキリスト教の死海文書みたいですが、紙の背(始めに文書を書いた裏側)にまた別の文書を書いて用いたもの、要するに裏紙を歴史用語でカッコよげに言っただけです。
昔は紙が貴重だったので、片方だけ使ってポイなんてもったいないことはせず、先に書いた文書を反故(ほご。ひっくり返して無効化)として、裏面も新たな文書に再利用したのでした。
よく「チラシの裏にでも書いて(描いて)おけ」などと言われますが、昔からそうだったようです。
当時の人々にしてみれば大したことない内容であっても、後世の私たちにとっては貴重な史料(※)が伝わることも少なからずあり、現代の裏紙も100年後、1000年後には有難がられるかも知れませんね。
(※)反故にされるような内容なればこそ、身分の貴賤を問わず生活のリアルな情報が記録されています。
ちなみに、歴史研究における古文書(こもんじょ)とは相手に意思を伝える書面(現代なら例えば手紙や回覧板など)を指し、日記やメモ書きのような非公開が前提のものは古記録(こきろく)と呼んで区別することがあるそうです。