「べらぼう」そうきたか!老舗ができないことをやる−−挑戦とアイデアの宝庫・蔦重の底力【後編】:2ページ目
「吉原の風景の中にいる遊女の錦絵」を出したい!な「そうきたか!」
さらに蔦重が手掛けたいと亡八たちに持ちかけたのが、『青楼美人合姿鏡』を本ではなく、錦絵として売り出すことでした。
北尾重政(橋本淳)と勝川春章(前野朋哉)という絵師による豪華な彩色絵本で、吉原の人気遊女の日常の姿を描いた本です。第10話で、その本を、蔦重は鳥山検校(市原隼人)に身請けされ吉原を出ていく瀬川(小芝風花)に贈りました。
自分が本を読んでいる姿が描かれているのを見て、喜ぶ瀬川。
「俺は『吉原をもっといいところにしたい』と二人で見ていた夢から覚めるつもりは毛筋ほどもねえよ。俺と花魁を繋ぐもんはこれしかねえから。俺はその夢を見続けるよ」と語る蔦重に「そりゃまあ、べらぼうだねえ」と、涙を流す瀬川の姿はいまだに記憶に新しいところです。
けれど、『青楼美人合姿鏡』は豪華過ぎて残念ながら売れず、莫大な借金だけが残ってしまいました。
「あれは売れ残ったじゃねえか」という亡八たちに「確かにあんときゃうまくいきませんでしたけど、今なら当たると思うんでさ。今、清長がウケてる理由の一つは景色の中の美人を描くからなんですから」という蔦重。
当時、鳥居清長の美人画は大変な人気でした。清長が描く女性は、八頭身ですらりとしているのが特徴。「清長美人」と呼ばれ、現代では「江戸のヴィーナス」とも呼ばれているそうです。
「清長は景色の中の女性を描いて売れている。ならば、こちらは吉原にいる女郎の姿を描いた錦絵を出したい」という蔦重の言葉に乗る亡八たち。
ただし「絵師が無名の歌麿では金は出せない。売れている絵師でないとだめだ」ということで、蔦重は、歌麿に描かせる計画を断念します。
そして、北尾政演に絵を依頼。
蔦重は、歌麿に「お前を外さなければならない。申し訳ない」と頭を下げるのでした。鶴屋では作家として、蔦屋では絵師として政演を売り出すという計画を聞いた絵師・北尾重政(橋本淳)は「そりゃあ『そうきたか!』となるもんな」と言います。



