
日本の法文化の基礎に…鎌倉武士が作ったルールブック「御成敗式目」は”昔のおきて”に留まらず!:2ページ目
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さらに、この法典が定められたことで、裁判やトラブルの処理がより公平かつ速くなり、幕府に対する信頼も高まりました。のちには、御成敗式目の精神が室町時代や戦国時代の大名法にも引き継がれ、日本の法文化の基礎となっていきます。
このように、御成敗式目は、ただの古い法律ではなく、日本の中世社会における政治や社会のかたちを理解するうえで欠かせない重要な史料です。
御成敗式目は、ただ昔の武士がつくった「おきて」ではありません。そこには、みんなが納得できるルールをつくろうとした努力や、力だけでなく道理で物ごとをおさめようとする考え方が込められています。
現代の私たちも、社会や学校でさまざまなルールに囲まれて暮らしていますが、それらの多くも「みんなが安心して生活できるように」という思いから生まれています。鎌倉時代の武士たちも、同じように悩みながら社会を築いていたということがわかります。
だからこそ、御成敗式目を知ることは、遠い昔の話ではなく、いまの私たちの社会や考え方につながっている歴史を知ることでもあるのです。
参考文献
- 佐藤進一・池内義資 編『中世法制史料集』(1955 岩波書店)
- 佐藤雄基『御成敗式目―鎌倉武士の法と生活』(2023 中公新書)
- 日本史史料研究会監修『御成敗式目ハンドブック』(2024 吉川弘文館)
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