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北条義時の意外な一面?承久の乱に臨んで見せたうろたえぶりを紹介【鎌倉殿の13人】

北条義時の意外な一面?承久の乱に臨んで見せたうろたえぶりを紹介【鎌倉殿の13人】

「よろしいか。人間の運命というものは、貴賤の一切を問わず、すべてお天道様がお決めなされています。雷が落ちたですと?……あのね、上洛した者たちは今も矢の雨を掻いくぐって戦っているのです。そんなもんでビクビクしていたら、勝てる戦さも勝てませんよ」

「まぁ、確かにそうではあるが……」

「それに陣中への落雷は吉兆と言うべきです。かつて文治5年(1189年)に亡き大殿(源頼朝)が奥州征伐の際、陣中に雷が落ちた吉例があります。それでも不安だとおっしゃるなら、気休めに占いでもさせましょうかね」

さっそく陰陽師の安倍親職(あべ ちかもと)、安倍泰貞(やすさだ)、安倍宣賢(のぶかた)に占わせたところ、結果は当然の如く「最吉」。読んで字の如く最もよい結果です。

ホラ、これでいい?と言わんばかりの態度に義時の不安が少しでも和ら……ぐといいですね。

終わりに

以上、義時のうろたえエピソードを紹介してきました。とかく冷徹非情なイメージの強い義時ですが、落雷を天罰じゃないかと恐れる辺りに親近感を覚えますね。

また、承久の乱に際しては鎌倉に留まり、前線に出ていないため「いいよな偉い人は」と思う方がいるかも知れません。

しかし自分の努力が及ばないところで運命が決まってしまうというのは、相当にプレッシャーがかかるもの。いっそ自身で戦った方がよほど気楽だったことと思われます。

NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では、かつて源頼朝(演:大泉洋)が挙兵した際、山木兼隆(演:木原勝利)らを襲撃する場面がありました(第4回放送「矢のゆくえ」より)。

その時、頼朝自身は前線に出ず、政子(演:小池栄子)に膝枕をしてもらっています。

(※膝枕こそ大河ドラマのアレンジですが、『吾妻鏡』においても館で御家人たちを待っていたとの記述あり)

大将たる者、悠然と構えていなくては勝てる戦さも勝てません。とは言え、みんなを信じて待ち続けるプレッシャーは、前線で戦う者と同じかそれ以上だったことでしょう(一概に「前線に出ないから気楽」ではないのです)。

もしかしたら、大河ドラマでは義時も後室のえ(演:菊池凛子。伊賀の方)に膝枕してもらうのかも知れませんね。

※参考文献:

  • 五味文彦ら編『現代語訳 吾妻鏡8 承久の乱』吉川弘文館、2010年4月
  • 細川重男『頼朝の武士団 鎌倉殿・御家人たちと本拠地「鎌倉」』朝日新書、2021年11月
 

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