化粧はできる武士のたしなみ!武士の心得書「葉隠」や戦国時代に見る男性のメイク【前編】:2ページ目
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武士の化粧は身だしなみ
そんな葉隠には、いろいろと興味深い部分があるのですが、中でも現代の男性に相通じるのが「化粧」についての記述です。
「写し紅粉を懐中したるがよし。自然の時に、酔覚か寝起などは顔の色悪しきことあり。かようの時、紅粉を出し、引きたるがよきなりと」
という一文があります。
つまり、武士は化粧用の頬紅をいつも懐に入れて持ち歩きなさい。
酔い覚めのときや寝起きなどは顔色が悪いこともある。そんなときに人前に出るのはみっともないので、頬紅を引くのが良いだろう。
と、武士の身だしなみとして化粧をすることと説いているのです。
鏡で自分の姿をチェックすることも
また、葉隠では「風体の執行(しゅぎょう)は不断鏡を直したるがよし」という言葉もあります。
武士の奉公は風采をあげることも大切だから、常に鏡を見て自分の姿をチェックしろという意味です。
当時の武士は武術の腕というよりも、藩を代表して他藩や幕府などと渡り合う交渉術を求められていました。その際、風采が上がらなければものごともうまく運びません。
自分を美しく魅せるが故ということではなく、藩に忠義を尽くすための風采をあげる化粧であったのでしょう。
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