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反省してるの?平安時代の貴公子・在原行平が謹慎中にナンパした美少女姉妹の恋物語【下】

反省してるの?平安時代の貴公子・在原行平が謹慎中にナンパした美少女姉妹の恋物語【下】:2ページ目

「……解りました。これ以上の無理は申しませぬ……行平さま、どうかご無事で」

「いつまでもお待ち致しますので……いつか必ず、きっと私たちを迎えに来て下さいましね」

「あぁ……きっと戻って来ますよ。愛するあなたがたの元へ……」

かくして行平は松風・村雨姉妹と離別して、因幡国へと旅立って行ったのでした。

エピローグ

……で、それから2年が経った斉衡四857年、因幡守の任期を満了した行平は晴れて京の都へと帰って行きましたが、どうやら須磨の地を踏むことはなかったようです。

一方、松風と村雨がどうしたかと言えば、行平の屋敷址に粗末な仮小屋を建てて待ち続け、そのままひっそりと生涯を終えました。

(※姉妹が住んだ仮小屋の址は、神戸市須磨区の史跡「松風村雨堂」として現代に伝わっています)

そんな美少女姉妹の純愛エピソードは後世の人々から愛され、謡曲(観阿弥、世阿弥「松風」)や浄瑠璃(近松門左衛門「松風村雨束帯鑑」)、そして近現代の映画など多くの作品を生み出すことになります。

ずっと帰ってこない行平を、生涯かけて一途に待ち続けたからこそ感動を呼んだのでしょうが、やっぱり行平には顔くらい見せてあげて欲しかったとも思えてなりません。

※参考文献:
田辺眞人『歴史の須磨』神戸新聞総合出版センター、1982年3月
森田悌『続日本後紀 全現代語訳 上下巻合本版』講談社学術文庫、2017年4月

 

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