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設定ミス?年齢詐称?「源氏物語」光源氏の恋人・六条御息所の年齢の秘密とは?

設定ミス?年齢詐称?「源氏物語」光源氏の恋人・六条御息所の年齢の秘密とは?

「前坊」の立場って?朱雀院は光源氏の「兄」でいいの?

そもそもこの「前坊」が光源氏の父・桐壷帝にとってどのような立場だったのかによって、答えは変わってきます。伝統的な解釈では、「前坊=桐壺帝の兄弟」「朱雀院=光源氏の異母兄」とされています。

しかし、実は「朱雀院は光源氏の兄である」とは、『源氏物語』の中にひと言もかかれていないのです。「賢木」の巻で、朱雀院の生母である弘徽殿大后が、

みかどと聞ゆれど、むかしよりみな人おもひおとし聞えて、ちじのおとゞも、又なくかしづくひとつむすめを、兄の坊におはするにはたてまつらで、おとうとの源氏にていとききなきが元服のそひぶしにとりわき…
(帝と申し上げても、昔から皆が軽く思い申し上げて、前大臣もこの上なくかわいがっていた一人娘を兄である皇太子ではなく弟の源氏で幼い者の元服の添臥にと決めるなんて…)

とぼやく台詞がありますが、彼女も「兄である皇太子」が「朱雀院」であるとは言っていません。
また光源氏の元服は12歳、その段階でまだ前坊は生存しているため、「兄である皇太子」が朱雀院であるとは考えられないのです。

そうなると「前坊」「光源氏」「朱雀院」の3人は、実は桐壷帝を父親とする兄弟で、光源氏から見ると弘徽殿大后の産んだ「前坊」が兄、朱雀院が弟ということになり、これならば六条御息所の年齢の矛盾もなくなります。

弘徽殿大后が光源氏を目の敵にしていたのは、身分が低いにもかかわらず夫・桐壷帝の寵愛を独占した桐壷更衣の子というだけでなく、自分の愛息子亡き後にその未亡人と関係を持っていたからという、現代人からは想像もつかないような複雑な事情があったのかもしれませんね。

 

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