どう見ても”使えない”!実用性に乏しい「縄文土器」はなぜ作られていたのか?:2ページ目
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神に捧げる食器
現在では、そうした複雑な形の土器は神に捧げるための器として作られたのではないか、と考えられています。
縄文人はアニミズムの世界に生きており、木や石に神が宿ると考え、日常の祈りや季節ごとの祈りを捧げる生活をしていたとされています。
もちろん、縄文人の正確な性格の実態は知りようがないので、それは想像に過ぎません。しかし、複雑な形の精製土器は、そうした宗教儀礼の場で用いられるものだったと考えると辻褄が合うのではないでしょうか。
現代でも、このように宗教儀式で用いるために特別な食器を用意することは珍しくありません。ネットで少し調べてみただけでも、お食い初め用の特殊な食器や、金メッキが施されたボウルなどを見つけることができます。
現代人の心性と、縄文人の心性を地続きのものとして考えると、「使いにくい縄文土器」の謎も解けるのではないでしょうか。
神に捧げる器だからこそ実用性は度外視され、なおかつ当時の最高技術を駆使したデザインが施されたのでしょう。
参考資料:歴史の謎研究会『舞台裏から歴史を読む 雑学で日本全史』2022年、株式会社青春出版社
画像:photoAC,Wikipedia
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