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「板前」は料理人の最高位の称号!その語源に込められた、おもてなしの心とは:2ページ目
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料理人は庖丁人、庖丁者、庖丁師などと呼ばれていましたが、多くの庖丁人から選ばれて、俎板の前で腕を振るうことを許された者だけが、特別に「板前」と呼ばれるようになりました。板前とは、つまり料理人の最高位の称号のことだったのです。
それが、江戸時代になり、茶屋や料理屋が発展し、専門の料理人が配置されるようになると、板前は単に料理人の代名詞となってしまいました。そこで、板前の中でも最も腕の良い調理場の責任者を「花板」と称するようになりました。現在では「板長」ともいいます。
しかしながら、現在の日本に、板前は存在しません。1952(昭和27)年、6月26日、東京都は「調理師条例」を公布し、調理師資格試験を導入しました。このことにより、「板前」の名称ではなく、「調理師」が正式な名称となったのです。
神前において供物を捧げたり、招いた客人を誠心誠意もてなした時代の心意気は、調理師の名称には受け継がれていません。板前や庖丁人という名前と比べると、やや味気ないかもしれません。
参考: 小松寿雄、鈴木英夫 編『新明解 語源辞典』(2011 三省堂)
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