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大河ドラマ「どうする家康」史実をもとにライター角田晶生が振り返る 「どうする家康」何やかんやで金ヶ崎。家康を狙う女装美少年の刃…第15回放送「姉川でどうする!」振り返り

「どうする家康」何やかんやで金ヶ崎。家康を狙う女装美少年の刃…第15回放送「姉川でどうする!」振り返り:2ページ目

もし、あの場で信長を討っていたらどうなる?

以上が「姉川の合戦」における経緯(諸説あり)ですが、家康が浅井に寝返ろうとしていた様子は見受けられません(完全にフィクションと見ていいでしょう)。

そもそも好きか嫌いか、今この瞬間に討てるかどうかだけで寝返りを考えるなど、愚の骨頂もいいところです。

左衛門尉(酒井忠次)や石川数正(演:松重豊)のうんざり顔がうまい演技なのか、それとも(俺たちは何につき合っているんだ)と心から思っていたのか、実に絶妙でしたね。きっと画面の前の視聴者も、同じ顔をしていたことでしょう。

信長怖い&嫌い、浅井好き&義がありそう、だからムカつく信長殺す。後の事はどうにでもなれ、じゃ困るのです。

そもそも信長を殺して浅井に寝返ったとして、そこから無事に(大好きな瀬名ちゃんが待っている)三河へ帰れるのでしょうか。

姉川(近江)から三河へ帰るには、がっつり織田領の美濃・尾張を通過しなければなりません。信長がいなくなったらすべて崩壊してくれる訳ではないのです。

道中で織田の軍勢と何度も戦いながら、命からがら三河にたどり着いたら、今度は武田が舌なめずりして待っています。

東に武田、西の織田まで敵に回したら……今度は織田と武田が仲良く三河と遠江を半分こする可能性が高そうです。つまりかつて今川氏真(演:溝端淳平)を挟み撃ちした構図そのもの。

どのみち武田は遠江・三河を攻めとる気満々なのですから、ここでいっときの感情に任せて織田まで敵に回したら、待っているのは破滅あるのみ。

もう家康も28歳(当時)なのですから、そのくらいの外交関係は頭に入れておいて欲しいものです。

よって今回の「信長を討つかどうか」という悩みは話しにならないと言えます。もし実際の家康がこんなバカ殿なら、石川数正が今すぐ出奔してもおかしくありません。何なら今すぐ殺して、首を織田に持っていくでしょう。

第1回放送から「どうする、どうする」ばかりでほとんど成長が見られない家康。毎週記憶や経験がリセットされているようですが、大丈夫ですか?これからまだまだ強敵は控えていますよ。

ところでナレーションが「総勢3万を擁した姉川の戦い」と言っていたのは、織田&徳川の動員兵数なのか、それとも朝倉&浅井をも含めた数なのかよく分かりませんでした。

史料や文献によって両軍の勢力には諸説あるものの、こうした兵数や情勢などのリアリティが欠如していると、毎回「何やかんやあったけど、家康が本気になったから勝てました!」で終わってしまいます(今後もそうならないといいのですが……)。

せっかく戦国時代を取り上げているのですから、各将の思惑とか戦術にもフォーカスして欲しいところですね。

3ページ目 その後どうなった?見附城

 

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