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不義密通を疑われ…彼女の腹から出てきたのはなんと!義時の姉妹・北条時子の悲劇

不義密通を疑われ…彼女の腹から出てきたのはなんと!義時の姉妹・北条時子の悲劇:2ページ目

「さて、これはどうしたことか……?」

やがて義兼が鎌倉での奉公から帰ってくると、藤野は根も葉もないことを言い出しました。

「わたし見ました。御台所が又太郎(足利忠綱)殿と通じていらっしゃるのを!」

お腹がふくれているのはその子供を宿しているから……いきなり何を言い出すのか、必死に否定する時子でしたが、義兼は信じてくれません。

「むきになって否定するところを見ると、怪しいのぅ」

このままでは不義密通の既成事実が広がってしまう……汚名を受けて永らえる命に何の価値があろう、と時子は自害してしまいました。

エピローグ

「私が不義の子をなしたか否か、その目でしかと検(あらた)めよ!」

……果たして遺体を解剖させたところ、時子の腹からはびっしりと大量の蛭(ヒル)が出てきたと言います。

恐らく、生水に棲んでいた蛭(あるいは類似した寄生虫)の卵が体内で孵り、そのまま繁殖してしまったのでしょう。ビジュアル化したら、凄まじい光景になりそうです。

こうして潔白が証明された時子。後悔と悲しみに暮れた義兼は、あらぬ噂を吹聴した藤野を牛裂きの刑に処しました。

牛裂きとは、片足ずつ牛に縛りつけてそれぞれの牛を別方向へ走らせて身体を両断する極刑。これまた凄惨な光景ですね。しかし自害してしまった時子の命はもどらず、後悔した義兼は彼女をねんごろに葬ったのでした。

以上が北条時子の「蛭子(ひるこ)伝説」。なお、彼女の墓は法玄寺(栃木県足利市)にあり、今も静かに眠っています。

※参考文献:

  • 北条氏研究会 編『北条氏系譜人名辞典』新人物往来社、2001年6月
 

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