- No.196隅田川があるのになぜ”墨田”区?思わず自慢したくなる東京の区名・地名に関するトリビア【後編】
- No.195大田区はなぜ「太」田区じゃないの?思わず自慢したくなる東京の区名・地名に関するトリビア【前編】
- No.194一番槍、抜け駆け などなど…現代でも使われている”武士の文化”に由来する言葉をご紹介
よく「現金なヤツ」というけど…その語源を調べてみたら、文字通りの通貨だった
「何だよAのヤツ、あんだけ反対していたのに、社長が手当て出すって言ったらアッサリ手のひら返しやがって……本当に『現金』だな」
という具合に、節操のない態度および人を「現金(な人)」と言いますが、現金の表記は、文字通り通貨の現金で正しいのでしょうか。
今まで、何かゲンキンという言葉があって、その誤変換なのかと思っていたのですが、調べてみたところ文字通り通貨の現金だったようです。
どういう理由でそうなったのか、今回は「現金な人」の語源を紹介したいと思います。
現金払いで、いつもニコニコ
「ごっそさん。今日はツケにしといてくれ」
例えば、呑み屋なんかの代金を後日にまとめて支払う「ツケ払い」は、店側が貸しを忘れぬよう、帳面に「書きツケて」おくからそう呼ばれました。掛け買い、信用買いなどとも言いますね。
しかし、約束した期限(例えば20日〆の月末払い)になってキチンと(自発的に)支払ってくれる律義者はごくまれで、たいていは年末になると、小僧たちが取り立てに駆けずり回ったものでした。
「もしもーし!今日こそ溜まったツケ、キッチリ払って下さいよ!」
ドンドンと催促の戸を叩く光景が江戸のあちこちで繰り広げられ、よく落語などでも面白おかしく語り伝えられていますが、当事者たちは何とかして取り立てよう(客としては少しでも遅らせよう)と必死です。
晦日(みそか)そば 残った掛けは のびるなり
『俳風柳多留』より。
昔は一ヶ月がすべて三十日(みそか)で、月末に蕎麦を食べる「晦日そば」の習慣があったことから、食べきれずに残ってしまった掛け蕎麦をツケ(掛け払い)になぞらえ、麺がのびる≒支払いが延びると溜息をついたものでした。
そういう苦労があるばかりか、悪質な場合だと踏み倒されてしまうリスクもあるため、店側とすれば、よほど信用できる客でなければツケ払い(掛け売り)はなるべくしたくないのが本音。
バックナンバー
- No.196隅田川があるのになぜ”墨田”区?思わず自慢したくなる東京の区名・地名に関するトリビア【後編】
- No.195大田区はなぜ「太」田区じゃないの?思わず自慢したくなる東京の区名・地名に関するトリビア【前編】
- No.194一番槍、抜け駆け などなど…現代でも使われている”武士の文化”に由来する言葉をご紹介
- No.193かつては”幻の豆”と呼ばれていた山形名物「だだちゃ豆」はなぜ ”だだちゃ” と呼ぶの?
- No.192万年筆の‟万年”っていったい何なの? 万年筆が日本で使われるようになるまで