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現代なら炎上必至!日本各地のお国柄をまとめた「六十六州人国記」が毒舌すぎる【中部&近畿編】

現代なら炎上必至!日本各地のお国柄をまとめた「六十六州人国記」が毒舌すぎる【中部&近畿編】

京都府(山城国・丹波国・丹後国)

【山城国】
さすが京の都、流れる水のように洗練されて雅やかで、女性たちは美しいけれど、武士たちは公家たちが翫(もてあそ)ぶ管弦などに毒されてしまったのか、軟弱な気風が残念である。
商人たちは遠国や離島まで出かけていっては巧みな話術を駆使してぶったくり、ごく稀に誠実な商売人がいても(or来ても)、やがて悪しき風習に染まってしまう。
全体的にロクでもない連中ばかりで、武士たちに勇気や道徳を説いても聞く耳持たず、チャラ男ばかりの困った国である。

【丹波国】
この国の連中は傲慢で他人を褒めることをせず、どいつもこいつも女人のような心根である(悉く女人の心根に異ならず)。
百姓どもは本分である農作を疎かにして、ラクして儲けようと商売に手を染める。私腹を肥やすことばかり考えて媚びへつらいに長け、最も哀れな連中であることは是非に及ばない。
腰抜けばかりなので、天下が乱れた際に侵略すれば五日以内に従わせられるだろう。

【丹後国】
この国の連中を千人、いや一万人集めても、まともな人物は一人もいないだろう。軟弱で不誠実なくせに悪知恵ばかり働くのでちっとも役に立たない。この国でまともなのは鷹と隼だけだ。

基本的に軟弱で腹黒く、悪知恵ばかり……そんなステレオタイプが、当時の京都府一帯にはあったようです。

丹波人に対する「女人のような心根」というのは、近年の「女の腐ったような」という悪口に通じますが、匿名で(あるいは北条時頼の名を借りて)他人をボロッカスに貶す方が、よほど卑怯に思えますが、どうでしょうか。

大阪府(河内国・和泉国・摂津国)

【河内国】
この国の人々は柳の枝みたいにしなやかでしたたか、実に世渡り上手が多い。ただし出世すると傲慢になって人を見下す傾向がある。
河内国を治めるなら、抑えつけると何かと反抗してめんどくさい(しかも面と向かってでなく、陰でサボタージュするから始末が悪い)ので、規制はゆるめに自由裁量を与えると協力的になってくれる。

【和泉国】
この国は河内国と紀伊国(和歌山県)の余った土地を寄せ集めて作った間に合わせの国と聞く。
人々はしばしば他人を誑かし、僧侶でさえも他人の財産を狙うほどである。財産を奪い取る手口は、関東人のような強盗殺人ではなく、最初はフレンドリーに近づいて、油断したところを一気に全財産はぎ取るような悪どさである。
と言って有能かと言えばそうでもなく、喩えるなら刃のない剃刀みたいなもので、人材として使い道がない。
もし千人に一人の逸材が生まれたとしても、生まれ持ったお国柄が、垢のごとく全身にこびりついているため、結局堕落してしまう。
ところでこの国は疱瘡人(天然痘によるあばた面の者)が多く、篠田明神に野狐も多い。狐はよく人を化かすと言うが……そうか、だから和泉国の連中は人を誑かす、要するにこいつらは、狐が服を着て歩いているようなものなのだ。
こいつらを征服するには五日も要らない。威厳と武力で脅してやれば、数日だって抵抗できまいよ。

【摂津国】
この国の連中は京の都に似ていて気に入らない。
武士は本業を疎かにして町人や百姓の仕事をまねてみたがり、逆に町人は武士をまねて分不相応な武具甲冑をコレクションして偉そうに武士の批判などに興じている。
また、オリジナリティを出したいのか大金をはたいて中二病デザインの刀剣を特注してドヤ顔している一方で、本業を疎かにしているのだから笑えない。
とかく見栄っ張りで百貫の収入があれば千貫あるかの如く大盤振舞いに及び、そのツケで周囲に迷惑ばかりかけている。
まぁ和泉国に比べればはるかにマシだが、百人いれば九十人は欲が深く、ハッタリ自慢の軟弱者ばかりなので、武士としての素質はない。

言わせておけばズラズラと、よくまぁこんなに悪口雑言を並べ立てたものです。

河内国は好意的に書かれている一方で、和泉国の「狐が服を着たような連中」とか摂津国の「ハッタリ自慢の軟弱者」だのと散々な酷評。

あと、天然痘の後遺症である疱瘡とお稲荷様の狐との関係を書いていますが、確か天然痘はヒト同士でしか感染しなかったはず。こういう誤解や偏見にも時代を感じます。

7ページ目 奈良県、和歌山県

 

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