現代なら炎上必至!日本各地のお国柄をまとめた「六十六州人国記」が毒舌すぎる【中部&近畿編】:5ページ目
福井県(若狭国・越前国)
【若狭国】
この国の連中はとかく協調性がなく、作法も自己流の者ばかりで垢ぬけない。友達ヅラしながら陰で「友」の悪口を言いふらす。
謙虚さに乏しく、自分が指摘されると他人に責任をなすりつけ、自らを省みない卑劣な連中である。【越前国】
この国は(悪い意味で)日本一の知恵者ぞろい。口先の巧さは尾張国にも劣るまい。傲慢で底意地悪く、期待させておいて裏切るからタチが悪い。
喩えるなら、旅人を船に乗せた川の真ん中で法外な渡し賃を要求し、旅の修行僧に宿を貸さない罰当たりぶり。百人に四、五十人はこんな感じである。
例によってボロッカスですが、特に越前国では手ひどい扱いを受けたのか「日本一の知恵者ぞろい」と強烈な皮肉が放たれています。
船に乗せて川の真ん中で法外な渡し陳を要求し、拒否すればUターンするか、あるいはその場で殺して身ぐるみすべて剥いでしまう……特に越前国だけではなさそうな犯罪の手口ですが、それくらいネガティブな感想を持ったのでしょう。
また、旅の修行僧に宿を貸さないことが他国ではあり得ない、というより、社会常識的にあり得ないこととしている点に、中世を感じます。
滋賀県(近江国)
この国は賢さとズルさを兼ね備えた者が多いが、ズルさの方が圧倒的多数である。うわべを取り繕うのが本当に上手で、心にもないキレイゴトで他国よりすぐれて見えるが、これはカネ(金属)のようなものである。
一口にカネと言っても、黄金(こがね)があれば白銀(しろがね)もあり、他にも銅(あかがね)、鉛(なまり)、錫(すず)、鉄(くろがね)など幅広く存在する。
で、こいつらはカネと言って黄金を連想させておきながら、いざ取引になれば鉛とか錫とか鉄を寄越すような連中だから、騙されてはいけない。
とにかくこいつらはズル賢いから、うわべだけの人柄に騙されることなく、ただ交わした契約内容だけをしっかりと見極めるドライな関係に徹するべきである。
全国あちこちでズルさや愚かさを表現するため、カネと言って黄金を連想させ、「カネ(金属)には違いあるまい」と鉄や錫を寄越すという喩えを用いていますが、実に発想が豊かですね。
作者がどれだけ近江人に騙され続けてきたのか、具体的な被害エピソードも書くと、読者の共感をより得られそうな気がします。