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現代なら炎上必至!日本各地のお国柄をまとめた「六十六州人国記」が毒舌すぎる【中部&近畿編】

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愛知県(尾張国・三河国)

【尾張国】
この国は良くも悪くも「突っ走る」者が多く、ずる賢さとワガママさゆえに善よりも悪に染まりやすい。
無駄な騒々しさとフットワークの軽さが特徴で、浮わついてはいるが勇敢で、隣の三重県(伊賀国・伊勢国・志摩国)3か国が束になっても敵わないほど。
それがゆえに昔から謀叛や一揆が多く、戦乱の中で英雄も輩出されるが、下民たちは頑固で困る。
まぁ、中ランクの国ってところか(中の風俗の国といふべし)。

【三河国】
この国の人々は、言葉遣いこそ汚いが誠実な者が多く、約束をすれば必ず果たし、もし果たせない時は事情を丁寧に説明する律義さを持っている。
親しき仲に礼儀を忘れず、噓偽りは言わないが、正直すぎて自分を許せず、自裁してしまう者もしばしばである。北部の者は特にその傾向がある。

英雄気質だけど邪智や強欲を備えた尾張国と、とことん武骨で純潔すぎるゆえに偏屈な三河国。恐らく作者の理想とする武士像は三河国なのだと推察されます。

それにしても中ランクとか、つくづく上から目線で、県民でなくてもカチンと来てしまいます。

三重県(伊賀国・伊勢国・志摩国)

【伊賀国】
この国の連中はどいつもこいつも誠実さなんて欠片もなく、強欲なので、地頭は百姓から搾取し、百姓はいかに脱税するかばかり考えており、義理なんて言葉は寝言でも口にしないので、武士も使い物にならない。

【伊勢国】
伊勢国の人々は南北で大きく違う。南の連中は土の器に漆を塗って金銀を散りばめたように見た目がよく、京の都と同然だが、その中身は強欲で、親子でさえも互いに騙し合うほど意地汚い。
武士は下人を情け容赦なくこき使い、下人は下人で今の主人などしょせん「腰掛け」に過ぎないとバカにしている。この主君にしてこの家来あり、まったく当てにならない連中である。
一方で、北の連中は南伊勢と違っていいところも多く、木の器を漆で塗ったような艶と上品さがある。と言ってもしょせんは伊勢人、南の連中よりはマシというレベルである。
ひとたび世が乱れれば昨日の味方も今日は敵、主従も親子の絆なんてものはありゃしない。その辺りは、南伊勢と同じだが、裏切りを恥じとするくらいの良心は残されている。
ちなみに、女性の美しさは近畿地方で京都と伊勢が最もよい。

【志摩国】
だいたい伊賀・伊勢の両国と同じで、武士たちは使いこなせもしない武器をコレクションして見せびらかし、その家来も意地汚い者ばかり。わざわざ記録する価値もない(不及書記之也)。

女性の美しさ以外は基本的にボロッカス、みんな腹黒くて意地汚く騙し合い、親子や主従の絆なんてありゃしない……さんざんにこき下ろした挙げ句、言うに事欠いて「わざわざ記録する価値もない」とは、ご挨拶にも程があります。

それにしても、土の器に漆を塗ったとか、あるいは雑木の器だとか……他人を貶すボキャブラリーの豊富さは、本書の読みどころかも知れませんね。

5ページ目 福井県、滋賀県

 

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