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着物の「袖」は日本人にとって相手への気持ちを示す大切な場所だった
着物において、筒状になっていて腕を通す部分である「袖」ですが、日本で古くから相手への気持ちを表現する意味を表す言葉として用いられてきました。
例えば、恋愛などでよく使われる「ふる」だとか「ふられる」という表現。その語源は着物の袖に由来しています。
元来、袖を振るという仕草は、日本では最も古い愛情表現のひとつとされており、7世紀の宮廷歌人である額田王も「茜さす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る」と詠んでいます。
今では若い女性の晴れ着として定着している振袖ですが、その袖の丈が伸びてきたのは江戸時代のことでした。長い袖は恋愛表現にも用いられ、乙女たちは袖を揺らして独身をアピールし、ふり方によって、男性からの求愛に受け答えしたようです。
そもそも「ふる」という言葉が、男女の間で相手の好意を拒絶する、という意味ではっきりと使われたのは、江戸時代前期、17世紀後半ごろまで遡ります。
例えば、1682年に井原西鶴によって著された『好色一代男』は、自由気ままに色好みの道を究めた男の人生を描いた作品ですが、そこでは主人公が高級遊女に35回もふられた、と記してあります。
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