梅雨ならではの空気感がカッコいい歌舞伎の演目「髪結新三」で雨の季節を楽しもう!
梅雨の時期にぴったりの歌舞伎演目といえば
全国的に梅雨に入り、ジメジメとした日が続いています。昔から日本人は、湿度の高い日々を少しでも涼しく感じられるよう工夫しながら、この過ごしにくい季節を乗り越えてきました。
歌舞伎の演目のなかにもこの時季の季節感をふんだんに取り入れた「梅雨小袖昔八丈」という演目がありますので、ひとつご紹介したいと思います。
「髪結新三」という通称で知られるこの演目は、江戸歌舞伎の大問屋と称された河竹黙阿弥による作品。江戸庶民の生活を生き生きと描いた世話物と呼ばれるジャンルの人気演目です。
物語のキーワードは旬の味覚のアレ
主人公は、髪結を生業としている新三という男。彼は、前科者のしるしである刺青を自慢にしているような小悪党です。
そんな新三が悪巧みから材木屋のお嬢さんであるお熊を誘拐し云々…という一見穏やかでないお話ですが、物語を通して重要なキーワードとして使われるのは「初鰹」という意外なアイテムでした。
このお話が作られた江戸時代当時、江戸ッ子たちは季節の走りに獲れた魚や野菜を「初物」としてとても大事にしていました。「目に青葉 山ほととぎす 初鰹」と山口素堂の句に詠まれているように、初夏における江戸ッ子たちの関心ごとといえば、初鰹を食べることだったようです。
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