【ブラッサム】木村正吾のモデルは誰?札幌で始まる本格創作…平穏の先に待つ“情熱的な恋”:2ページ目
木村正吾は『高森の分家の伯父にあたる人』か
「木村正吾」を演じるのは三宅弘城さん。
数多くの舞台、ドラマや映画で活躍している俳優さんですが、NHKでは大河ドラマや朝の連続テレビ小説でもおなじみです。
ドラマの人物像は
木村家の親戚。保の母・照子の従兄で、札幌の銀行に勤める実直な人物。(NHK「ブラッサム」公式サイト)
とあります。
木村正吾に関しては、特に特定の人物をモデルにしているかどうか、公式での発表はありません。
けれども、宇野千代の自伝的小説『生きていく私』では、北海道で新聞事業を起こし成功した『高森の分家の伯父にあたる人』(※)が、東京の下宿に訪ねて来たことが記されています。
悟が学校を卒業したら、北海道へ来てみないか、新聞事業は面白いものである、などと話したのちに、或るまとまった額の金を置いて、帰って行ったのであった。(『生きていく私』(角川文庫))
※「悟」とは藤村忠のことで自伝的小説の中では「悟」と名前を変えています。
※高森:宇野千代の父・宇野俊治の実家のある高森(現在の岩国市周東街)
千代は、伯父のことを「温和などっしりとした印象の男」「人を束縛するようなところのない印象」と書いています。
宇野千代は遠縁の伯父の邸宅に
史実では、保のモデルとされる藤村忠は、帝大法学部政治学科を卒業後、北海道拓殖銀行の札幌支店へ就職、大正9年(1920)に札幌に引っ越しています。
そして、忠と千代は、新聞事業で成功した伯父の屋敷の離れで暮らしたのです。
『生きていく私』の中には、その時千代が強烈に心を揺り動かされた妻・伯母のエピソードがあります。
伯母が13年履き古した足袋を見せてくれたのですが、「何度も洗われて繕われているものの綺麗で汚れがない」ことに感動したとか。
その足袋によって物語られるものの集積が、この伯父の家の莫大な財産になったのだと言うことを、私は一瞬の間に理解したのであった。(『生きていく私』(角川文庫))
「ブラッサム」では、木村正吾の妻・木村浪江という人物で、杉田かおるさんが演じます。
銀行員である夫・正吾を支える良妻賢母の女性。(NHK「ブラッサム」公式サイト)
この印象深い『足袋のエピソード』はドラマの中でも描かれるかもしれませんね。
3ページ目 わずか2年で破局?札幌移住が宇野千代を「流行作家」に変えた劇的結末

