驚愕の古代史!卑弥呼はなぜ女王になったのか?邪馬台国誕生の裏にあった異常気象と“倭国大乱”[後編]:3ページ目
共生の道を模索し邪馬台国が誕生
繰り返しになりますが、異常気象による打撃を受けていたのは、九州北部だけではなく、出雲・吉備・タニハ(京都府北部)・畿内・尾張といった各地もまた同様だったと考えられます。
長期にわたる争乱のなかで各地の勢力には、もはや軍事的対立を続ける余力は残されていなかったのではないでしょうか。
その結果、争いではなく調停と統合を模索する動きが生まれた可能性があります。それが、女王・卑弥呼を共立するという選択、すなわち邪馬台国連合の成立であったとも考えられるのです。
邪馬台国の有力候補地として知られる奈良県桜井市の纏向(まきむく)遺跡は、3世紀前半に突如として出現する大規模都市遺跡です。その立地は四方を山に囲まれて奈良盆地内に位置し、自然災害の影響を受けにくい点でも政治的中心地として適していました。
この遺跡からは、九州から関東にいたる広範な地域の土器が出土しており、広域交流の拠点であったことがうかがえます。
また、後の前方後円墳の規範となる纏向石塚古墳をはじめとする纏向型前方後円墳や、卑弥呼の墓との説がある箸墓古墳には、吉備地方に起源をもつ特殊器台が採用されています。
これらの考古学的事実は、纏向が広域的な交流を掌握しうる政治的中心地であり、邪馬台国連合の首都にふさわしい性格を備えていることを示しています。
そして、大規模噴火による異常気象という外的要因が、従来の地域対立を超えた新たな政治秩序の形成、すなわち邪馬台国誕生を後押ししたと考えられるのです。
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※参考文献
Piva, S. B. et al., Volcanic glass from the 1.8 ka Taupō eruption detected in Antarctic ice, Scientific Reports(2023)
瀧音能之監修 『発掘された日本神話』 宝島社新書
NHKスペシャル取材班著 『新・古代史』NHK出版新書




