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これが日本初の著作権トラブル?福澤諭吉『西洋事情』をめぐる”偽版”騒動とその影響【前編】

これが日本初の著作権トラブル?福澤諭吉『西洋事情』をめぐる”偽版”騒動とその影響【前編】:2ページ目

そんな黒田が関わったのが、『西洋事情』の“翻案出版”です。京都の書肆・林芳兵衛が『西洋事情』の入手困難に目をつけ、黒田に改訂版の出版を依頼しました。こうして生まれたのが『増補和解 西洋事情』という書籍です。

この本は、福澤の原著をベースにしながらも、難解な語句にルビを振り、注釈を加え、独自の判断で、付録(鉄道や蒸気船、博覧会などの解説)をつけるなど、読者の理解を助ける工夫が数多く施されていました。

黒田にとっては、それが“偽版”という認識ではなく、「良書をより多くの人に届ける」という信念に基づいた行動だったと考えられます。

【後編】の記事はこちら↓

これが日本初の著作権トラブル?福澤諭吉『西洋事情』をめぐる”偽版”騒動とその影響【後編】

前回の【前編】の記事はこちら[insert_post id=248548]しかし、福澤はこれを明確に「著作権の侵害」と受け取りました。[caption id="attachment…

参考文献

  • 福澤 諭吉 (著), マリオン・ソシエ (編)『西洋事情』(2009慶應義塾大学出版会)
  • 堀井 健司「幕末維新期における版権についての一考察」『出版研究』40巻(2010 日本出版学会)
 

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