【べらぼう】最終回に名前が登場した「傀儡子」実は曲亭馬琴(津田健次郎)のことだった!
大河べらぼう、気づけばあっという間に終わっちゃいましたね。
最終回「蔦重栄華乃夢噺」では、脚気に倒れて死を目前にした蔦重(横浜流星)が、自分の死さえ商売のネタにしてやろうと張り切ります。
そして寛政9年(1797年)正月に、ズラリと黄表紙を大量出版。最後の最後まで「書をもって世を耕す」蔦屋耕書堂の意地と誇りを示しました。
貼り出された札を見ると、中に一つの書名が気になります。
「武者合天狗俳諧 傀儡子」
本作では度々登場し、言及されてきた傀儡(くぐつ。操り人形)を筆名にする人物とは、一体何者なのでしょうか。
今回はこちらの傀儡子(かいらいし)について、その正体に迫りたいと思います。
※関連記事:
「べらぼう」瀬川が登場!写楽=斎藤十郎兵衛説 採用、蔦重が遺したもの…最終回の内容を解説
傀儡子と曲亭馬琴は同一人物
結論から言いますと、傀儡子とは曲亭馬琴(津田健次郎)の別名義です。
劇中に出てきた『武者合天狗俳諧』のほか、同年に『彦山権現誓助剣』、翌年に『増補獼猴蟹合戰』を出版しました。
※この傀儡子は馬琴の門人と称していますが、それは馬琴なりのジョークでしょう。
『武者合天狗俳諧(むしゃあわせ てんぐはいかい)』
門破(もんやぶり)や薙刀、先陣に弓勢(ゆんぜい)など9つのお題で武者絵を描き、俳句と人物評を添えた俳諧集です。
『彦山権現誓助剣(ひこさんごんげん ちかいのすけだち)』
仇討ちを志すお幸とお園の母娘は、旅の途中で六助という青年に出会いました。話を聞いた六助が助太刀を申し出て……という仇討ちモノです。
『増補獼猴蟹合戰(ぞうほ さるかにがっせん)』
ご存じ「猿蟹合戦」のアレンジ。登場人物はおおむね原作どおりですが、猿を除いては人間が蟹や臼の被り物をしていたり、猿一味は唐人風の装束をまとっている点に特徴があります。
これら作品の挿絵はいずれも北尾重政(橋本淳)。いずれも巧みなキャラクター描写で、ストーリーと相まって読者を楽しませたことでしょう。

