朝ドラ「ばけばけ」実はヘブン先生の初婚は息子と3人暮らし――小泉八雲、アメリカでの悲劇的な結末
小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の妻」と聞けば、多くの人が思い浮かべるのは松江士族の娘・小泉セツでしょう。ところが八雲には、その前にもうひとり――アメリカ・シンシナティで結婚した最初の妻がいました。
アフリカ系アメリカ人の女性、アリーシア(アリシア)・「マティ」・フォーリーです。
ハーンとマティは、シンシナティで運命的な出会いを経て結婚。幸せに暮らしますが、当時の情勢は2人に悲劇的な結末をもたらします。
2人の結婚生活がどのように始まり、どのように終わったのか。ハーンとマティの結婚生活について見ていきましょう。
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奴隷として生まれた「マティ」と、ひとり息子
マティはどのような女性だったのか触れておきます。
1854年前後の頃、彼女は白人農園主を父に、黒人奴隷を母に持つ混血の女性としてアメリカ南部・ケンタッキー州で誕生しました。
誕生時のマティの身分は、奴隷ということになります。
しかし南北戦争終結と奴隷解放によって自由を獲得。その後、最初の結婚と離婚を経て、1860年代末〜70年代はじめにかけて、息子ウィリアム・L・アンダーソンとともにオハイオ州シンシナティへ移り住みました。
シンシナティでのマティは、下宿屋の厨房で働くコック(家事労働者)でした。
そこへ居候のような暮らしで転がり込んできたのが、若きラフカディオ・ハーン(のちの小泉八雲)です。
ハーンは極貧から新聞記者への道を歩み始めたばかりで、欧州から来た、身寄りも乏しい「よそ者」でした。
あるとき、ハーンが病を得て倒れます。その時熱心に看病したのがマティで、感激したハーンは彼女と接近します。
2人がお互いを愛して共に歩もうとするのは、当然の成り行きでした。


