大河「べらぼう」鬼畜の母、地獄の過去…唐丸、毒母親との壮絶な関係を断ちついに喜多川歌麿が誕生!【前編】:3ページ目
7歳で「男娼」として生きてきた壮絶な過去
駿河屋の女将ふじ(飯島直子)と一緒に青本を整理していた蔦重は、「北川豊章」を名乗る絵師の「さまざまなタッチで描き分けができる」という画風に、目を付けました。そう。さまざまな絵の模写できる唐丸の姿が浮かんだのです。
絵師・北川豊章が唐丸ではないか?という思いに駆られた蔦重は、彼を探し始めます。けれども、賭場で探し当てた北川豊章(加藤 虎ノ介)は、50絡みの武家崩れの目つきの悪い男で、明らかに唐丸とは別人。
がっかりした蔦重ですが、次郎兵衛兄さん(中村蒼)が「二人羽織で蕎麦の早食い」というくだらない芸の練習に励んでいるのを見て「くっだんねえ」というものの、ハタと北川豊章が唐丸の背後にいて絵を描かせている(北尾が二人羽織のように唐丸を操っている)のでは?とひらめきます。
※兄さん、相変わらずいい味を出しつつ、さりげなく蔦重にヒントを与える役回りです。
北川の住む長屋を訪ねると、そこには成長した唐丸がいて、北川の世話になり絵を描かされていたことがわかります。今は「捨丸」と名乗り、女性にも男性にも体を売っているようでした。問い詰める蔦重に「今のこの暮らしが自分には合っているんだ」といい追い返すのでした。
〜現代と同じ問題「自傷行為から体を売る」〜
「体を売ることが“楽しい”なんて人間がいるのだろうか」と尋ねる蔦重に対し、いねが「自分のせいで親が死んだりした子供は『自分はひどい目にあって当然だから色を商売にする稼業も好きだ、ありがたい』と思ってしまうこともある」と言います。
「自己肯定感の低さやから自傷行為のため売春に走る」「自分を罰したいから、早く自分など消してしまいたいからと体を売る」という問題は、江戸時代ならずとも現代にも通じる問題です。差別問題、格差社会など、江戸時代でありながらも現代に通じる問題を組み込む「べらぼう」。ドラマの脚本ではありますが、まさか唐丸が、あの喜多川歌麿が、そんな地獄にいたとは……驚愕した人は多いでしょう。
