約6000年~5000年前の大昔、縄文人は舟をどう造ったのか?クジラ漁など縄文時代の生活と「海」の関わり:2ページ目
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クジラやマグロまで…
そして、縄文人はクジラまで獲っていたことが明らかになっています。能登半島の真脇遺跡からクジラの骨が発見されているのです。
真脇遺跡は半島の先端から内海に入った入り江の奥にあり、約6000年~2000年前まで縄文集落が存在していました。その集落跡地から、ゴンドウクジラをはじめ、カマイルカやマイルカなどの骨が大量に発見されているのです。
その骨には石器の銛や槍による傷跡が残っていることから、縄文人は回遊してきたクジラやイルカを丸木舟で湾内へ追い込み、捕獲したと考えられています。
さらに、獲ったクジラやイルカは骨を利用し、油も採取しています。それに加えて、この遺跡からは中部高地や東北地方で生産されたとみられる土器や玉が発見されていることから、クジラやイルカが交易にも使われていた可能性もあります。
縄文人たちは、外洋でマグロなどの大型魚も獲っていたようです。
宮城県の沼津貝塚からは、獲物に突き刺さった先端部分が柄から離れ、ロープによって手繰り寄せて獲物を手に入れるタイプの銛が発見されています。
その銛の大きさから見て、標的は外洋を回遊するマグロだったと考えられ、現代の「大間の一本釣り」のようなマグロ漁を行う漁師がすでにいたのだろうと考えられています。
縄文時代というと、現代の私たちから見れば旧石器時代に毛が生えた程度のイメージしかないかも知れません。しかし、彼らは彼らなりに丸木舟や漁の道具などの最先端技術や、旬の時期に関する知識などを活用し、現代人と変わらない食生活を送っていたのです。
画像:photoAC,Wikipedia
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