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筋子とイクラの違い?ご飯食べるのになぜ「お茶碗」?知ってるようで知らない和の食材【その3】:3ページ目
筋子といくらの違いって?
「筋子」は卵巣膜に入り卵がつながっている状態のサケ・マスの卵です。お腹から取り出したばかりのものは「生筋子」といい、塩漬けされているものが一般的。
一方の「いくら」は筋子から卵巣膜を外して、卵がバラバラになった状態を指します。秋鮭の卵をほぐしたものが主流です。
「本マグロ」と呼ばれるのは何マグロ?
寿司といえばマグロ、刺身といえばマグロが真っ先に思い浮かぶぐらい日本人に馴染みのある食材ですね。店頭でちょっと高級な「本マグロ」という表記を見かけることも多いはず。しかし普通のマグロとどう違うの…?と思ったことはありませんか?
食用のマグロはおおまかに「クロマグロ、ミナミマグロ、メバチマグロ、キハダマグロ、ビンチョウマグロ」と5種類あるのですが、実は本マグロと呼ぶのは「クロマグロ」だけ!
別名マグロの王様ともいい、本マグロはクロマグロの一般名なのだとか。
クロマグロの名前の由来には諸説あり、目が黒いことから「目黒(マグロ)」と呼んだ説、泳いでいる姿が真っ黒な山のように見えたことから「真黒(マグロ)」と呼んだという説などがあります。
ご飯を食べるのになぜ「お茶碗」?
ちょっとこれは複雑なので漢字の違いから説明します。茶碗の碗は部首が「石」ですね。汁椀の椀は部首が「木」です。今更説明不用とは思いますが、茶碗は茶の湯において「茶を入れて飲むための碗」を指す用語でした。
漆器の椀は飯や汁物などを盛るための食器のことです。飯椀、汁椀と呼んでいました。
茶碗は、奈良時代から平安時代にかけて茶と一緒に中国から伝来。当時の日本では磁器が作れなかったので、その後もずっと中国から輸入していました。花瓶や鉢などの陶磁器も輸入していましたが圧倒的に多かったのは茶碗だったため、次第に磁器全般のことを「茶碗」と呼ぶようになります。豊臣秀吉以降、国産の磁器も広まっていくと庶民も磁器の食器を手に入れられるようになります。
各々の特性としては、木は熱伝導率の低い素材のため、保温効果が高まる。木地に漆を塗った漆器であれば、防腐・防水・防虫効果も高いのです。ご飯やお味噌汁など冷めてほしくないものに適しているのですね。陶磁器の碗は、逆に抹茶などを点てる時に適しています。
しかし、陶磁器が漆器よりも手に入れやすくなる時代がきます。文化14(1817)年に大田南畝が記した随筆の中で、「今の陶器は尾州の瀬戸より多く出る故に、なべての陶器を瀬戸物といふに同じ」とあるように、「瀬戸物」とも言われる安価な陶磁器が出回るようになります。すると形状の似た茶碗のほうが使いやすいからとご飯を盛るようになっていき、「ごはん茶碗」と呼ぶようになったということです。
いかがでしたか? 色々な変遷をたどり今に受け継がれている和食。意味も知ると尚おいしくかんじることでしょう。
トップ画像:『東都名所高輪廿六夜待遊興之図(歌川広重画)
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