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「どうする家康」ヒゲを生やして、貫禄が出てきた?第31回放送「史上最大の決戦」振り返り:3ページ目
「鬼武蔵」森長可と羽黒の戦い
……こゝに池田勝入入道といへるは。右府恩顧の下より人となりしが。これも時勢にひかれて秀吉のかたうどし。先尾張の国犬山の城を攻とり。聟の森武蔵守長一とともに楽田羽黒に打出で。在々所々を焼立たり……
※『東照宮御実紀』巻三 天正十一年-同十二年「小牧山役(長湫戦、大戦之四)」
【意訳】池田恒興(演:徳重聡。勝入入道)は織田信長に恩義があったが、利害によって秀吉に与した。
先ほど尾張の犬山城を攻め落とし、婿の森長可(演:城田優)と共に楽田・羽黒へ攻め込んで、あちこち焼き払ったのであった。.
…..この辺りは劇中に描写がありましたね。共に歴戦の猛将で、家康・信雄にとって強敵となりました。
さて、これに対する徳川勢の顔ぶれがこちらです。
……味方には榊原。奥平。酒井。大須賀の輩つきづきに打出で森が勢にはせかゝり。先軽卒を進ませ鉄砲を打かくる。其中にも奥平が勢無二無三に羽黒村の小川ををしわたる。森は鬼武蔵とよばれし血気の猛将。それが軍師にそへられたる尾藤なにがしも。都辺の敵をのみあしらひたるてだてを三河武士にをしあて。川をわたさば討てかゝらんとゆるゆる侍しに。奥平が三千餘騎会釈もなく突てかゝる。あとより酒井。榊原。丹羽并松平又七郎家信等つゞいてをし渡り地煙り立て鑓をいるれば。何かは以てたまるべき……
※『東照宮御実紀』巻三 天正十一年-同十二年「小牧山役(長湫戦、大戦之四)」
羽柴勢を迎え撃つのは、榊原康政(演:杉野遥亮)、奥平信昌(演:白洲迅)、酒井忠次(演:大森南朋)、大須賀康高(おおすが やすたか)。森長可の軍勢に突きかかり、中でも奥平勢は羽黒村の小川を押し渡りました。
森長可は鬼武蔵と呼ばれた猛将でしたが、軍師の尾藤ナニガシはその武勇に驕って「まぁ、敵が川を渡りきったタイミングで討てばよかろう」などと油断していていたようです。
そこへいきなり襲いかかって来たものだからたまりません。三河武士の精強さを思い知ることになるのです。奥平に続き酒井・榊原そして丹羽氏次(にわ うじつぐ)に松平家信(まつだいら いえのぶ)らは大いに槍を奮ったのでした。
……家信時に十六歳。野呂助右衛門といへる剛のものを伐取たり。稲葉一鉄入道はかねて森と牒し合せ段の下に屯し。老波血河に湛ふと高聲にとなへゐたる所に。金扇の御馬印遥にみゆれば。 徳川殿出馬ありしといふ程にこそあれ。敵はみな色めき立て。終にかなはず引て犬山へかへる……
※『東照宮御実紀』巻三 天正十一年-同十二年「小牧山役(長湫戦、大戦之四)」
家信はこの時16歳。羽柴勢の野呂助右衛門(のろ すけゑもん)なる豪傑を討ち取り、その武名を高めました。
羽柴勢が不利に陥る中、稲葉一鉄(いなば いってつ)が伏兵を忍ばせておりましたが、家康の馬印(金扇)を見て一同慄然。慌てふためいて犬山城へ逃げ帰ってしまったと言いますから、よほど家康が恐れられていたことが分かります。
かくして小牧・長久手の前哨戦「羽黒の戦い」は徳川勢の勝利に終わりました。
それにしても、長篠の時と言い、左衛門尉(酒井忠次)の死ぬ死ぬ詐g……もといフラグ立てたがりは何でしょうね。彼は慶長元年(1596年)に天寿をまっとうするので、ファンの皆様はご安心下さい。
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