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「どうする家康」走れ阿月。家康は信長へ逆ギレ「あほたわけ」…第14回放送「金ヶ崎でどうする!」振り返り:3ページ目
袋の小豆と阿月の元ネタなど
お手玉に密書を詰めて、草(忍び)に持たせてみたものの、あっさり見破られてしまったお市。
「おひき候へ 市」……とりあえず、密書に名前は書かない方がいいですよ?
浅井の武将がわざわざお手玉を持ってきて、目の前で引き裂いていましたが、あれはパフォーマンスのためにわざわざ詰め直したのでしょうか。
確かに忍びが持っていたから怪しい、書状でも仕込んでいるだろうことは察しがつきます。
しかし、もしあれで中に何も入っていなかったら「あなた何してんの?」以外の何ものでもありません。
ということは、お手玉を没収した時点で中身を検閲しているはずです。その上でアレをやるためには、出した中身を全部詰め直す必要があります。
あの場面は「曲者がこんな書状を隠し持っていましてなぁ……」でよかったんじゃないでしょうか。
ともあれ紙がダメなら伝言で、と一路金ヶ崎まで走る阿月。時に追手は何で黙って追うのでしょうか。
どう見ても不審なんだから「止まれ。この先行くこと罷りならぬ」で終わりです。
後、せっかく捕まえたのに「往生せえ」と川に突き落とす場面もいただけません。殺すならちゃんとトドメを刺して下さい。
あなた(追手)の横着で、軍事機密(という程のものかはさておき)が漏れちゃったではありませんか。
……ともあれ追手を振り切った(と言うより死んだと見なされた)阿月は十里の道程をひた駆けました。
彼女の走り方は恐らくナンバ走り、手と脚を同時に出すことで疲れにくく、長く走れる古来の走法だとか。ちょっと試してみたいですね。
それでも十里と言えば一里がおよそ4キロだからざっと40キロ。現代ほど道が整備されていないアップダウンの激しい山道を駆け抜けたのであろうため、ついに息絶えてしまいました。
そもそも創作エピソードだから、細かい事は気にしない方向でいきましょう。
ちなみに、この元ネタとなったのはこちら。
……朝倉浅井両端ヨリ我軍勢ヲ一騎モ不残可討取トノ策鏡ニカケテ覚タリ是ヲタトフルニタトヘハ袋ヘ小豆ヲ入跡先ヲ結切テ一粒モヽレサル如クナルヘシ長政カ室家我ニ此㕝ヲ悟レト思フハカリコトニ此小豆ヲ送レル也妹ナカラモ此知慮ハ男子ノ及フ業ニアラスト涙クミテ申サレケレハ一族家老ノ面々モ兄弟ノナサケヲ感し鎧ノ袖ヲソヌラシケル……
※『朝倉義景記(朝倉家記)』
【意訳】朝倉と浅井が織田を挟み撃ちすれば、一人残らず討ち取れるであろう。喩えるならば袋の中へ小豆を入れて口を締めれば一粒ももらさぬようなものである……長政の妻・お市はこの企みを何とか兄の信長へ伝えようと、小豆を送った。
「妹=女ながらも優れた知恵は、男の及ぶところではない」
信長が涙ながらに言うと、陣中の家老たちも兄妹の絆を思い、感涙に鎧の袖を濡らすのであった。
なお、このエピソードは他の史料や文献に記述がないため、史実的な裏づけには欠けます。
有名なエピソードだから入れてもいいとは思うものの、ポッと出てきた完全創作キャラクターが使い捨てのように死んだからと言っても、正直あまり感情移入できません。
「時代に埋もれた女性の活躍、歴史風感動秘話」を描きたかったのかも知れませんが、ちょっと時間を取りすぎです。
それで実在人物の活躍が埋もれてしまっては、歴史を取り扱う上で本末転倒と言わざるを得ません。
今後は実在人物の描写により力を入れてくれることを期待しています。
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