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瀬名(有村架純)が築山殿に住んだ本当の理由。徳川家康(松本潤)に送った手紙が切なすぎた【どうする家康】

瀬名(有村架純)が築山殿に住んだ本当の理由。徳川家康(松本潤)に送った手紙が切なすぎた【どうする家康】

……この書状を読む限り、彼女が家康と離れて築山で暮らしたのは、彼女の意思ではなく強制された結果であると分かります。

私はあなたの正妻なのに、三郎の母親なのに。あなたのせいで両親を喪い、たった独りぼっちでこんな寂しいところへ追いやられて、たまに訪ねてさえも来てくれない。

なぜ家康はそこまで彼女を遠ざけたのでしょうか。恐らくはその嫉妬深さを疎んでのことと思われます。

生得悪質、嫉妬深き御人也……『玉輿記』

無数の悪質、嫉妬深き婦人也……『柳営婦人伝』

偏僻邪佞にして嫉妬の害甚し……『武徳編年集成』

凶悍にてもの妬み深くましまし……『改正三河後風土記』

創作を含め、彼女を批判するどの書物にも共通する嫉妬深さ。これでは側室も持てやしない……かくして家康は彼女を築山へと追いやり、数々の女性たちと関係を結んだのでした。

終わりに

ちなみに、築山殿からの書状に対して家康はこう返事したと言います。

いとどわづらはしく、おぞましさにおもひ給ひしなるべし

※『士談会稿』より

【意訳】あぁ鬱陶しい。おぞましいったらありゃしない。

そういうところが嫌なんだよ……家康はより一層彼女を遠ざけ、ついに二人の関係が修復することはありませんでした。

そして天正7年(1579年)8月29日、築山殿は武田勝頼(演:眞栄田郷敦)との内通容疑により、織田信長(演:岡田准一)の命で処刑されます。

後を追うように9月15日、共謀容疑で徳川信康(演:細田佳央太)も切腹。我が子の道連れがせめてもの慰めになったでしょうか。

我が身は女なれども汝らの主なり。三年の月日に思い知らせん

※『士談会稿』より

【意訳】おのれ……私は女だが、そなたらの主君ぞ。三年以内に目にモノを見せてくれるわ……!(自分を斬ろうとする者たちへ呪いの言葉)

NHK大河ドラマ「どうする家康」では、現在これでもかとばかり(あるいは家康の一方通行?)に愛し合っている二人が、どのような別れを告げるのか……今から心しておきましょう。

※参考文献:

  • 黒田基樹 『家康の正妻 築山殿 悲劇の生涯をたどる』平凡社新書、2022年10月
  • 高柳金芳『徳川妻妾記』雄山閣、2003年8月
  • 中村孝也『家康の族葉』碩文社、1997年4月

トップ画像: NHK大河ドラマ「どうする家康」公式ページより

 

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