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「どうする家康」よく言った!本多正信が代弁する民の声。第9回「守るべきもの」振り返り:2ページ目
本證寺を去った空誓。その後、永き雌伏を経て家康と親密に
一向門徒を率いて奮戦するも、傷つき倒れゆく民の姿に心を痛め、家康との和睦を決断する空誓上人(演:市川右團次)。けなげな童を抱きしめて悲しみの声を上げるその姿は、一向門徒ならずとも胸揺さぶられたことでしょう。
ただあえて野暮を言うなら「それで和睦を決断する程度の覚悟で戦さなど始めるな」に尽きます。
みんなの暮らしを守りたいなら、まずは大好き話し合いが先にあってしかるべきです。古来「戦争は外交の敗北」とはよく言ったもので、武力の行使は最終手段に他なりません。
それを8年前の私怨(少なくとも幼馴染の“お玉”を喪った原因は家康ではないはず)を晴らさんと目論む本多正信や、東海地方の制覇を目論む武田信玄(演:阿部寛)の調略に乗せられてしまったことは、悔やんでも悔やみきれなかったであろうと察します。
和睦の場で家康の目を見て「あぁ、これは軍師殿の言う通り、約束を守る気などないな」と百も承知で証文を交わした胸中はいかばかりだったでしょうか。
さて三河一向一揆の終息後、空誓上人は三河を追われ、約20年にわたる雌伏の時代を過ごしました。
本證寺が「元の野っ原」から再建を果たしたのは天正13年(1585年)。諸役免除などの権利も回復したのですが、これに先立って空誓上人は公文書を偽造。勝手に道場を建立してしまう詐欺行為に及ぶなど、一筋縄ではいかないお坊様だったようです。
ともあれ家康との関係を修復した空誓上人は晩年に徳川義直(よしなお。家康九男)の補佐を命じられ、御三家の一・尾張藩を支えたのでした。
恐らくこれで退場と思われますが、登譽上人(演:里見浩太朗)ともども再登場が期待されます。
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