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大河ドラマ「どうする家康」史実をもとにライター角田晶生が振り返る 「どうする家康」殿さんが盗人の真似を…どうした家康!?第7回放送「わしの家」振り返り

「どうする家康」殿さんが盗人の真似を…どうした家康!?第7回放送「わしの家」振り返り:3ページ目

一向門徒のうごめく影に……?

さて、一向門徒の実態がどのようなものか(不入の権を存続すべきか)お忍びで本證寺へ潜入する家康。榊原小平太(演:杉野遥亮)と本多忠勝(演:山田祐貴)と三人でいそいそ出かける様子は、まるで親に黙って夜遊びに出かける中高生みたいでしたね。

楽しそうで何よりです……が、こういう任務は服部半蔵(演:山田孝之)や女大鼠(演:松本まりか)らの出番ではないのでしょうか。自らノコノコ出かけていって、もし捕まりでもしたら、どんな特権を追加要求されるか分かったものではありません。

これまでの合戦にせよ奪還作戦にせよ、人の命ひいては一国の運命を左右する重要任務であるという緊張感が欠けているように見えるのは何故でしょうか(肩の力を抜いて観られるよう、視聴者への配慮かも知れませんが)。

ともあれ土屋長吉重治(演:田村健太郎)の案内で潜入?に成功した家康ご一行。飢餓や兵乱に苦しむ外界とは打って変わって華やかに栄える境内に面食らいながら、妖艶な美女・千代(演:古川琴音)に誘われます。

住職の空誓上人(演:市川右團次)と親密な関係にあるらしい彼女は、恐らく信濃国の歩き巫女・望月千代女(もちづき ちよじょ/ちよめ)がモデルなのでしょう。

望月千代女は永禄4年(1561年)の川中島合戦で討死した望月盛時(もりとき)の未亡人で武田信玄(演:阿部寛)に仕え、歩き巫女(一定の寺社に属しない巫女)として諸国の情報収集など諜報活動に従事したと言われます(諸説あり)。

一説にはくノ一(女性忍び)とも伝わるため、大河ドラマでは女大鼠との対決シーンなんかもあるのかも知れませんね。

それはともかく、民衆に担ぎ上げられている空誓上人を裏で操っているように見えた彼女。三河一向一揆が武田信玄の謀略による可能性をほのめかしているようです。

第1回放送で今川義元(演:野村萬斎)の死を知り、駿河(および遠江)併呑の野心を顕わしていた信玄。三河も掌中にすべく、工作活動を展開していたのでしょうか。

空誓上人は劇中のとおり本證寺の第10世住職。浄土真宗中興の祖・蓮如(れんにょ)の曾孫に当たり、三河一向一揆では中心的な役割を果たします。

戦場では鎧を身にまとい、金棒を振り回す豪傑坊主だったらしく、往時の武蔵坊弁慶(むさしぼう べんけい)を髣髴とさせる大立ち回りが楽しみ(市川右團次さんにピッタリ?)ですね。

ちなみに千代が門徒らを煽動する際に発した「進めば極楽浄土、退けば無間地獄(むげんじごく)よ」というセリフ。『考証要集~秘伝!NHK時代考証資料』(文春文庫)によると「むけんじごく」とのこと(聞こえ間違いだったらすみません)。

無間地獄とは絶えず(間がない)苦しみを受け続ける地獄のこと。無限(限りなく苦しみを受ける)のイメージで「むげん」と読みがちですが、気をつけたいところです。

4ページ目 まずは話し合って欲しかった

 

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