「鎌倉殿の13人」和田一族滅亡、義時の目にも涙…第41回放送「義盛、お前に罪はない」振り返り:5ページ目
泣いて戦場を背にした義時の胸中
激闘の末、実朝に忠臣と認められて闘志を失い、喜びに胸を張った和田義盛は三浦義村の裏切りによって矢衾(やぶすま。全身に矢が突き立った状態)に。本作で見られなかった弁慶(演:佳久創)の立ち往生を髣髴とさせるものでした。
「……これが鎌倉殿に取り入った者の末路にござる!」
凄まじい最期の怖気を奮うため、あるいは自分の正当性を強調するため、義時は声高に宣言します。
和田は忠臣などではなく、鎌倉殿に取り入ろうとした阿諛奸佞(あゆかんねい。邪心をもって主君におもねり、へつらうこと)の徒に過ぎない。あるいは義時の嫉妬も混じっていたのでしょうか。
そりゃ和田殿はいいでしょうよ。面倒な政務は「お前に任せる」といわば押しつけ、日ごろブラブラして気が向いた時に実朝の遊び相手になっていれば、さぞ気に入られることでしょう。
でも、政治の現実はそうとばかりも行きません。嫌われたって言わねばならぬことはありますし、やらねばならぬ課題も山積みです。
そうしたいわば汚れ役の実務を引き受けてきた義時にしてみれば、意図せずも鎌倉殿を篭絡する義盛は、まさに最大の脅威だったことでしょう。
とは言ってもやはり憎めない古なじみだった義盛の死を直視できず、背を向けて立ち去った義時。その表情は、かつて「黙って米蔵で木簡を数えていた若者」のものでした。
……だがしかし待って欲しい。和田一族の粛清はほぼ100%義時の野心、「坂東武者のてっぺんに立つ(立ち続ける)」ため私利私欲で起こしたこと。
殺した以上、それを最後まで見届けるべきではないでしょうか。固瀬川のほとりに並べられた義盛以下234の首級を。まさに「あなたは見るべきだ!」というものです。