「鎌倉殿の13人」和田一族滅亡、義時の目にも涙…第41回放送「義盛、お前に罪はない」振り返り:6ページ目
終わりに
かくして終結した和田合戦。義盛を喪った悲しみに、実朝は覚悟を決めます。
「鎌倉を、源氏の手に取り戻す」
今や北条氏≒義時のお飾りと成り下がっている鎌倉殿の存在を、鎌倉の実権者に押し上げる。そして安寧の世を作り上げる。それはすなわち、義時との対峙を意味しました。
京都の後鳥羽上皇(演:尾上松也)を仰ぐ実朝を諫める義時。しかし実朝は「この鎌倉に信じられる者はいない」と拒絶します。
「下がってよい(≒下がれ)」
実朝が亡き頼朝・源頼家(演:金子大地)の父兄2代を超えようとしている。危機感を抱く義時の描写は、後の実朝暗殺事件における黒幕説をほのめかすようです。
山は裂け 海はあせなむ 世なりとも
君にふた心 わがあらめやも※源実朝『金槐和歌集』より
【意訳】たとえ山が裂け、海が干上がってしまうような世であろうと、君(主君≒後鳥羽上皇)に二心を抱くようなことはございません。
実朝が後鳥羽上皇に贈った歌を読んで「ちぎれんばかりに尻尾を振っている」とほくそ笑む藤原兼子(演:シルビア・グラブ)そして慈円(演:山寺宏一)。合戦後間もなく起きた大地震と言い、まだまだ鎌倉は前途多難のようです。
次週の第42回放送、サブタイトルは「夢のゆくえ」。実朝が陳和卿(演:テイ龍進)と意気投合、宋へ渡るため大船を建造するのですが……果たしてどうなることでしょうか。
また久しぶりに丹後局(演:鈴木京香)も登場、今度は政子に何を教育しているのか、とても気になるところです。
和田一族の滅亡によってしばしの平穏(意:大規模な兵乱がない状態。決して流血がなかった訳ではない)が訪れた鎌倉。しかしその内情は平穏とは程遠く、義時と実朝の対立が深刻化していくのでした。
ラストスパートに向けて、なおも厳しさを増していく「鎌倉殿の13人」。ついに和田殿の癒しもなくなってしまいましたが、ぜひ最後まで見届けたいものです。
※参考文献:
- 石井進『日本の歴史(7) 鎌倉幕府』中央公論社、2004年11月
- 五味文彦ら編『現代語訳 吾妻鏡 7頼家と実朝』吉川弘文館、2009年11月
- 笹間良彦『鎌倉合戦物語』雄山閣出版、2001年2月
- 細川重男『頼朝の武士団 鎌倉殿・御家人たちと本拠地「鎌倉」』朝日新書、2021年11月
- 三谷幸喜『NHK大河ドラマ・ガイド 鎌倉殿の13人 完結編』NHK出版・2022年10月