現代でも通じる内容ばかり!儒学者・貝原益軒の『養生訓』に見る健康の秘訣とは?
健康は「食」と「予防」から
今でこそ科学が発達して、「食」と健康がどのような関係にあるか、詳らかにされています。
しかし江戸時代にも、科学的知見は今ほど優れていないものの、「食は健康に通じる」という思想がありました。
それは庶民の食生活からも、また有名な貝原益軒の『養生訓』からも読み取ることができます。
まず、江戸幕府は庶民が平等に医療を受けられるように療養所を設け、食生活の管理に力を入れていました。
そこで出される味噌汁の塩分は控えめでした。また、当時の江戸っ子に人気だった「倹約のおかず番付」というランキングを見ると、沢庵や梅干し、きんぴらごぼうや煮豆など、現代でも「おふくろの味」といわれるようなものが多くランク入りしています。
さらに、当時の庶民は一日三食食べていましたが、栄養バランスにも気を配っていました。
長崎にも療養所が設けられていましたが、ここは大陸からの疫病の入口になることから、特に衛生面で注意していたといいます。
夏の暑い時期には、子持ちの魚(つまり卵を含んでいる魚)や傷みやすい魚、水分を多く含むきゅうりや梨など、腐りやすく菌を持ちやすいものは持ち込みを禁止されていました。
つまり、治療だけではなく「予防」の観点も存在していたということです。
この、「予防」の観点から江戸の人たちがよく読んでいたのが、先にも挙げた『養生訓』です。
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