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「みたらしだんご」の名前の由来は、古来日本より行われてきた神事が大いに関係していた
さて、Japaaanでは、これまで仏教由来の日本語をいくつかの記事に分けて紹介してきましたが、その一方で、神道や神事に由来を持つ日本語も少なくありません。
例えば皆さんの中にも大好きな方もいるであろう「みたらしだんご」。
みたらしだんごは、漢字で「御手洗団子」と書きます。御手洗とはもともと、神社の周辺にあって参拝者が神仏を拝む前に禊をする場所のことを言いました。「禊」とは、参拝者が神仏を拝む前に水で全身などを洗い清めることで、その語源は、水を注いで、身についた罪や穢れを荒いすすぐ、「みそそぎ(身濯)」から来ていると考えられています。
参拝前に罪や穢れを荒いすすぐために使用した川のことを「御手洗」なんていっていたようです。
現在、京都に存在している明神川は、かつて「御手洗川」と呼ばれており、上賀茂神社付近をながれていました。このように同じ名前の「ミタラシガワ」は、実は下鴨神社の境内にもあります。
下鴨神社では、毎年7月の土用の丑の日に「御手洗祭」が行われますが、この祭りは平安時代、季節の変わり目にこの川で貴族が罪や穢れを禊をしたことに由来します。
その祭りのときに神社境内で振舞われた串さしの団子こそが、祭りの名前にちなんで、「御手洗団子」と呼ばれるようになりました。
因みに、苗字でも「御手洗さん」がときどきいらっしゃいますが、御手洗川の近くに居住していた人々、神社に奉仕する人々が名乗ったものが多いようです。
みたらしだんごから禊のことや祭りのことなどを見てみると、本当に食べ物一つとっても、奥が深いな~と、毎回感心させられています。
この他にも、神道や神事に起源をもつ日本語がまだまだあります。また少しずつ紹介させていただこうと思います。
参考:沢史生 「みたらしだんご」 『日本大百科全書』 (1994 小学館)
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