”逢う魔が時”にご用心!昼と夜の間「黄昏時」は魔物や禍に遭遇する時間帯!?:2ページ目
「魔」に出逢う時…逢う魔が時
逢う魔が時は、読んで字のごとく「魔に出逢うとき」です。
平安時代には、得体の知れない魔物に遭遇する時間帯、もしくは大きな災いを被る時間帯として信じられていました。
逢う魔が時になると、闇にうごめく妖怪や魔たちが活動し始め、夜も更けると百鬼夜行(魔物たちの行進)が始まります。それに遭遇すると死んでしまうので貴族たちは外出を控えたそうです。
逢う魔が時=黄昏時は、空の色が美しいものの、ひたひたと暗闇が迫ってくる気配を感じます。電気などなかった時代の人々は、訪れる闇への底知れぬ恐怖を常に感じていたのでしょう。
怖いと思う気持ちが、何を見ても妖怪や幽霊などに見えてしまっていたのかもしれませんね。
江戸時代の妖怪浮世絵師
江戸時代、妖怪画を多数描いたことで知られる浮世絵師・鳥山石燕(とりやませきえん)の画集「今昔画図続百鬼」の「上之巻/雨」には、「逢う魔が時」が描かれています。
烏たちが空を舞う黄昏時。民家や寺、塔の上では、雲が何やら恐ろしげな妖怪の姿に形を変えどんどん生まれていく様子が。画には……
黄昏をいふ。百魅の生ずる時なり。
世俗小児を外にいだす事を禁む。
一説に王奔時とかけり。これは王奔前漢の代をうばひしかど、程なく後漢の代となりし故、昼夜のさきひを両漢の間に比してかくいふならん。
という文章が。
黄昏時にだんだんと実体化していく魑魅魍魎(ちみもうりょう)たちは、現代の凝ったCG画よりも、はるかにシンプルな画ながら、何やら不気味な様子が伝わってきます。