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カー・セックスの誕生は平安時代?あなたの知らない性や愛に出逢える「いろごと辞典」が面白い!

カー・セックスの誕生は平安時代?!あなたの知らない性や愛に出逢える『いろごと辞典』が面白い!

狭いところでイタしていたアノ歌人や偉人

続いて、「カー・セックス」という項目を引いてみましょう。書き出しこそ「car + sex(和製英語)、自動車の中で行う性行為。」と当たり障りのない一文ですが、読み進めてゆくと驚愕の事実が…。

カー・セックスの元祖は、千年も前に平安京で牛が引く「牛車」の中で行われていた。在原業平が牛車セックスをしたことは『伊勢物語』に書かれている。

まさか、平安のプレイボーイもカー・セックスにいそしんでいたとは…。しかし、カー・セックス愛好家であった(らしい)有名人は業平だけではないのです。

明治に入り、駕籠に代わって馬車が使われるようになると早速、馬車セックスが始まり、これをする男を「ハコ乗り野郎」と言った。明治の元勲伊藤博文もそうだったことが、『雑学明治珍聞録』に載っている。

皆さん狭いところでなさるのがお好きだったのですね。

『雑学明治珍聞録』は未入手につき信憑性のほどは分かりませんが、雲の上の存在だと感じていた歴史上の人物に親近感を覚えてしまうエピソードです。

ともすれば軽蔑の対象となる性の問題。しかし…

編者である小松奎文(けいぶん)先生は、『誹風柳多留』や『誹風末摘花』といった江戸期の川柳を読む中で遭遇した意味のわからない言葉を辞書や文献で調べ、『いろごと辞典』の元となった『いろの辞典』を20年かけて編纂されました。

『いろの辞典』のあとがきに先生はこう記されています。

「色」と言うと、軽視はおろか軽蔑さえされることも多い。しかし、「色」はそれ自体がすべての人に関わる大切なことであり、すべての人の人生の中に大きな位置を占めるものである。だから「色」の本にはユーモアがあり、人生の機微が潜んでいる。

すべての人間にとって欠かせないものでありながら、公に語ることがはばかられてきた性愛。しかし、隠す必要があったからこそ豊かな婉曲表現が生まれ、ユーモアのインスピレーションにもなったのです。

いろごと辞典』は、江戸の性風俗や春画に興味のある方はもちろん、日本文化を愛する多くの皆さまにぜひ手に取っていただきたい書籍です。

 

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