不器用すぎる親心?織田信長が子供たちにつけたユニークすぎる名前を一挙紹介!:5ページ目
良好(十男・織田信好)
「御屋形様、お加減は?」とでも訊かれたのかも知れません。「うむ、すこぶる良好!」そう溌溂と答える信長の上機嫌顔が目に浮かぶようです。
読みは恐らく「りょうこう」でしょうが、諱のように読むなら「ながよし」と読めなくもありません。
縁(十一男・織田長次)
読みは「えにし」か「えん」か「ふちorぶち」か「へり」、あるいは「ゆかり」だとちょっと女性みたいですね。
何かよい御縁にでも恵まれたのか、あるいは畳の縁(へり)にけっつまづきでもしたのか、読み方の多さから色んなエピソード(可能性)が想像できます。
五徳(次女・見星院)
五徳(ごとく)とは鍋などを火にかける時、適切な間隔を保つための金具で、現代でもガスコンロなどで使われていますね。
囲炉裏や火鉢をチミチミといじくり回す信長の姿は日頃の激しさに比べると意外な感じですが、信長だって人の子ですから、時にはそんなこともあったでしょう。
振(六女・総見院)
女の子だから晴れやかな振袖の振……なんて事はなさそうです。だって信長ですもの。そもそも振袖と言う単語がまだ一般的ではありませんでした。
となると、何かを振り回すような出来事でもあったか、信長も(例によって?)何かムシャクシャしていたのかも知れませんね。
変な名前をつける意味は?
以上、信長が子供たちにつけたユニークすぎる名前を紹介してきましたが、これはただ信長が奇人変人だから、だけでない理由があります。
とかく昔は子供が亡くなりやすく、その原因は「神様がこの世へ授けた子供を冥界(あの世)へ召し返してしまうから」とか「悪霊がさらっていくから」などと考えられていました。
そこで、子供が成人して魂がこの世に定着するまでの間、あえて変な名前をつけることで「これ(=子供)は人間じゃありませんから、連れて行かないで下さい」というメッセージを発する習慣もありました。
※現代でも、そういう習慣は世界各地に残っており、例えばモンゴル人は生まれた子供に「犬の子(ノホイフー)」とか「虫けら(ホルホイ)」などと名づけることもあるそうです。
いつの時代も、子供は宝。いつまでもこの世で幸せに生きて欲しい……もしかしたら、ユニークすぎるネーミングセンスは信長の不器用な親心だったのかも知れませんね。
※参考文献:
岡田正人『織田信長総合辞典』雄山閣、1999年