砂糖はどうやって日常の調味料に?明治の開国危機から渋沢栄一の挑戦、黒砂糖との違いまで【後編】:2ページ目
高度経済成長期を迎えて
やがて製糖技術はさらに磨かれ、物流も整い、戦後の高度経済成長や食品産業の発展も手伝って、砂糖はどこの台所にも必ずある「当たり前の存在」になりました。
いまの台所を覗けば、定番の上白糖やグラニュー糖だけでなく、コクのある黒砂糖やきび砂糖、お祝い事にも使われる和三盆など、料理や好みに合わせて自由に選べる豊かさがあります。
いまや料理に砂糖を一さじ加えるとき、その砂糖がどこから運ばれ、誰の手を経てきたのかを意識することはほとんどありません。
けれども、そんな何気ないひとさじが当たり前に手に入る暮らしの陰には、海を越えた大航海、島々で育まれた製糖の技術、菓子職人たちの情熱、そして近代産業を興した人々の挑戦の歴史が、しっかりと横たわっています。

砂糖の歩みを振り返ってみると、そこに見えてくるのは「ただ甘くて美味しい」という事実だけではありません。
そのひとくちの甘さを手に入れるために、昔の人々が何を背負って海を渡り、どのような技術を編み出し、どんな社会の仕組みを築き上げてきたのかという、生々しい人間の営みをそのまま、感じとることができるのです。
黒砂糖と白砂糖の違いも、色だけではありません。砂糖をつくる過程で、糖蜜などの成分をどこまで残すかという点にあります。
黒砂糖は、サトウキビの搾り汁を煮詰め、糖蜜を分離せずに固めてつくります。そのため、黒褐色になり、独特の風味とコクが生まれます。また、カリウムやカルシウム、鉄などのミネラルを含んでいるのも特徴です。
一方、白砂糖は、サトウキビやテンサイから取り出した糖分を精製し、色や風味のもとになる成分を取り除いてつくります。クセが少なく、すっきりとした甘さがあるため、コーヒーや紅茶、お菓子づくり、料理など、幅広い用途に使われています。
普段あたりまえのように使っている調味料にも、少しだけ立ち止まって目を向けてみてください。そうすると、いつものキッチンから遠い土地や懐かしい時代へと続く、豊かな物語が見えてくるはずです。
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参考
- 農畜産業振興機構「砂糖の歴史(日本への伝播)」、2010年2月24日更新
- 農畜産業振興機構「江戸時代の砂糖食文化」、2010年12月27日更新、
- 文化庁「砂糖文化を広めた長崎街道~シュガーロード~」、日本遺産ポータルサイト
- 農畜産業振興機構「渋沢栄一と製糖業~日本の製糖業の変遷~」、2025年1月10日更新

