
”和食”が健康にいい本当の理由。「発酵食品」がカギを握る日本の食文化の真髄
読者の皆さんは、和食の「体にやさしい理由」を考えたことがありますか?
味があっさりしているから?野菜が多いから?――それももちろんありますが、実はもうひとつ、大切なキーワードがあるんです。
それは、「発酵食品」の存在です。
味噌汁、納豆、漬物、醤油。日本の食卓には、昔から自然と発酵食品が並んでいます。とくに意識しなくても、日々の食事の中で発酵の力を取り入れてきた。それが日本の食文化の大きな特徴といえるかもしれません。
発酵とは、微生物の力を借りて食材を変化させるしくみのこと。麹菌や納豆菌、酵母菌、乳酸菌などが働くことで、素材はゆっくりと時間をかけて変化していきます。味や香りが深まるだけでなく、体にもやさしい食品になるのが発酵のすごいところです。
たとえば味噌は、大豆に麹菌を加えて何ヶ月もかけて発酵させて作られます。その間に、大豆は体に吸収されやすい形へと変わり、酵素やビタミンも生まれます。納豆は、腸内環境を整える効果があることで知られ、いまや海外でも人気の健康食品になっています。
こうした発酵食品は、ただ「栄養がある」だけではありません。昔の人にとっては、食材を長持ちさせるための知恵でもありました。冷蔵庫がなかった時代、塩や麹とともに発酵の力を利用して、食べ物を保存しながら美味しさと栄養を守っていたのです。
最近では「腸活」や「発酵食」が注目され、現代人の健康づくりにも役立つ存在として再評価されています。でも、日本ではそうした科学的な裏づけが広まる前から、感覚として発酵の力を生活に取り入れてきました。それは、自然と共に生きてきた日本人ならではの暮らしの知恵といえるでしょう。
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