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『べらぼう』愛の告白に胸キュン!松平定信(井上祐貴)──ツンデレなオタク全開!10の魅力【後編】

『べらぼう』愛の告白に胸キュン!松平定信(井上祐貴)──ツンデレなオタク全開!10の魅力【後編】:4ページ目

「蔦屋耕書堂は神々の集うやしろ」の名台詞

さらに「春町は我が神。蔦屋耕書堂は神々の集うやしろであった」と文学オタクらしい名台詞を言う定信。

春町の死は自分の政の中で唯一の不覚と認め、本の内容を例えに出し「上がった凧を許し笑うことができればすべて違った」と、懺悔の言葉を口にします。ほかならぬ蔦重にこの言葉を伝えたかったことでしょう。

「春町先生を唆し、でっけえ凧をあげさせてしまったのは自分」という蔦重。

二人で店内に貼られている手書きの本の題名と春町の名前をじっと無言で見つめました。お互いに「この人も自分と同様、生涯忘れられない罪悪感を背負いここまで来たのだな」と思ったことでしょう。

今までずっと、定信に対して感じ悪く接していた蔦重が初めて「ご一緒できてようございました。」と丁寧に頭を下げたのには、ぐっと来ました。二人の心がやっと歩み寄った瞬間。

照れ臭さもあったのか、「今後はよい品物は白川に送るように。抜け目ない商人に千両も取られたゆえ、倹約せねばならぬ」と嫌味で返すところが定信らしい。(ほんと「そういうとこですよ」)

そして、店頭の黄表紙本をどんどん手に取っていくちょっと大人気ないところも笑えましたね。(春町の本は豆腐桶に入ってました)

籠の中で待ちきれないとばかりに、ニコニコ顔で黄表紙を読み始める定信。SNSの「コミケ帰りの戦利品を帰りの夜行バスで見ちゃう人」という例えがまさにぴったり。こちらも思わず微笑んでしまうような、定信がかわいい場面でした。

実は文学好きで豆本作家の一面も

井上祐貴さんがまさにドハマリ役だった松平定信。

史実では、定信は豆本作家の面もあり、現存しているものだけでも160冊以上あるとか。隠居後は時間があると豆本を作っていたそうです。

また、日本で初めて誰でも入れる庶民の憩いの公園「南湖公園」を作ったりもしています。文学や浮世絵など日常的な楽しみが、実は人生をより豊かにしてくれるということをよくわかっていた人なのでしょう。白川に帰った後の活躍ぶりをスピンオフでみたいなと思いました。

清濁を合わせ飲む田沼意次の人間臭さを魅力的に描いただけではなく、その最大のライバルである「清き流れに住み難い」ほどの堅物・松平定信を、萌えキャラとして実にチャーミングな人物に描いたのも「べらぼう」の面白さでした。

 

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