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囚人同士が人を“間引く”──江戸時代の牢獄に潜む恐怖のルールを史料から読み解く

囚人同士が人を“間引く”──江戸時代の牢獄に潜む恐怖のルールを史料から読み解く:2ページ目

入ると教えられる牢内法度

新入りは入牢すると、まず牢役人の二番役から牢内法度を教えられました。二番役は牢役人の中でもかなり地位が高く、新入りの教育係的存在も担っていました。もちろん、二番役の新人教育は超スパルタです。江戸後期に書かれた史料「獄秘書」などからその一例を引用してみましょう。

「娑婆からうしゃアがった大まごつきめ、磔(はッつけ)め、素っ首を下げやがれ!」といきなり罵倒。

その後は長いので意訳すると

「てめえのような雑魚にゃ夜盗もできめえ、火つけもできめえ。櫛かんざしでも盗んでまごまごしてるうちに、しょうもない罪で捕まったんだろう。どうしてここに来たか有り体に言ってみろ」

とまあ無茶苦茶言っていますが、まずは新入りが捕まった経緯、犯した罪を聞き出します。

物の呼び名が変わる

その後、二番役は牢内では様々な物の呼び方が変わる事を教えます。まずは「詰教え(つめおしえ)」といって牢内のトイレについて教えました。

「娑婆じゃあ雪隠とか言っただろうが、御牢内じゃア名が変わり、詰(つめ)の神様と言う」

「娑婆じゃあ帯とも褌とも言おうが、御牢内じゃ名が変わり、帯は長物、褌は細物と言うぞ」

など。

3ページ目 貢がねば囚人によって殺された

 

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